ゲルインクボールペン特化型ノート、低迷する市場の活性化につながるか
ゲルインクボールペンが元気だ。国内ボールペン市場規模は2005年の346億円(実績)から2006年は333億円(予測値)と微減傾向。しかし、ゲルインクボールペン市場は増加傾向だ。このゲルインクボールペンで気持ちよく書ける紙をコクヨが開発した。低迷するボールペン市場の追い風になるか――。
コクヨによると「近年、ゲルインクボールペンが普及している」という。矢野経済研究所によると、ボールペン全体の国内市場規模は2005年で346億円(実績)だが、2006年は333億円(予測値)と13億円の微減。しかしそのうち水性ボールペン市場は、2005年の145億円から、2006年には155億円と10億円増加すると予測している。水性ボールペン市場の躍進を支えるのが、水性ボールペンの8割を占めるというゲルインクボールペンなのだ。
そもそもこのゲルインクボールペン、コクヨによれば「水性と油性の“いいとこ取り”」なのだという。乾きやすくかすれにくい特性を持つ油性ボールペンだが、書き味は一般的にそれほど滑らかではない。水性ボールペンは書き味こそ滑らかだが、油性ボールペンに比べると乾きにくくかすれやすいというデメリットもある。一方、ゲルインクボールペンは油性ボールペンより滑らかな書き味で、水性ボールペンよりも乾きやすくかすれにくい。このバランスの良さが、微減傾向のボールペン市場にあって評価されているわけだ。
このゲルインクボールペンの良さを追求しようと考えたのがコクヨS&T。ゲルインクボールペンに特化した上質紙(薄口・60平方メートルグラム)を開発したのである。従来、同社が販売してたノートなどに利用されていた上質紙(75平方メートルグラム)に比べてさらに薄くなった。
紙とペンとの関係を調査して書き心地を追及。書き味の滑らかさなどを測定する独自の「書きやすさ」テストのほか、JIS規格「筆記乾燥性試験」をベースにした「乾きやすさ」テスト、紙パルプ技術協会が規定したにじみ範囲を測定する「サイズ度試験方法(ペン書き法)」をクリアした。用紙上に書いた「正」の文字を書いた5秒後にこする「乾きやすさ」テストでは、こすっても文字がかすれなかった。その後の、モニターアンケートでも比較した市販商品より「書きやすい」という回答が多く得られたという。
コクヨがボールペンのインクの種類に応じた紙を開発したのは初めて。このゲルインクボールペンに特化した上質紙は、今後、ノートなどの原料に利用するという。ゲルインクボールペン特化型ノートが、市場のカンフル剤になるかどうか――。製品化に注目したい。
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