第1四半期(4月〜6月)決算のピークを終え、8月相場に突入した。任天堂やソニー、コマツといった主力企業で最高益更新が相次いでいるが、日経平均株価は8月1日、大幅に下落した。終値は前日比377円91銭安の1万6870円98銭で、1万6900円を割り込んだのは4カ月半ぶりだ。
不安定な株価は7月の4週目(23日〜27日)から続いている。米国のサブプライムローン(信用度の低い顧客)問題の不安が広がり、米国株は7月26日に急落した。米国株の動向が警戒され、7月27日の日経平均は一時500円超の下落となった(7月30日の記事参照)。
さらに為替相場の動きが注目されている。7月4週目から円高が進行しているため、株価は神経質な展開となっている。8月1日には3カ月半ぶりに1ドル=118円台を割り込み、連鎖的に株安の状況が続いている。
一般的に「8月相場は安くなる」と言われるが、今年の8月はどう展開するのか。米国株や為替などの影響はどこまであるのか。マネックス証券投資情報部の清水洋介氏に、株価動向を聞いた。
為替の影響は織り込んでいる
清水氏が挙げる要因は2つある。それは為替の影響と日銀の金融政策だ。
4月〜6月の決算発表が続く中で、大企業を中心に増収増益の企業が目立っている。だが、株価に反映されていない要因を「為替の影響を織り込んでいるためだ」と分析する。投資家の間では、円高が進行すると業績悪化につながるのではないか、と見ているようだ。その一方で、これまで円安が続いてきたため「外国人投資家はどのタイミングで株を買えばいいのか。2の足を踏んでいて、買い手が見つからない状況が続いていた」という事情もある。円安を懸念していた外国人投資家だが、円高になると企業業績を不安視するという“スパイラル”に陥っているようだ。
主要国の株価指数に対し、日本株の出遅れ感は否めない。「4月〜6月の決算が出たが、日本株の買いに勢いがない。7月〜8月の業績動向を見ながら、9月の中間決算を織り込んでいく展開になるだろう」と予測する。
日本銀行の金融政策も不安材料だ。「日銀が利上げに踏み切る可能性は高い。そうすれば諸外国との金利差が縮まり、円キャリー※の巻き戻しを懸念する。その結果、株安と円高につながるだろう」と分析する。
8月末の日経平均は回復、1万8300円と見る
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日銀の利上げによって、一時的にマーケットの混乱は避けられない。ただ、「買い」が少ない現在の状況は「利上げによって株価が下がるのを待っているだけ」と言い切る。やがて業績に連動して、鉄鋼・海運・機械・商社関連の銘柄が強くなるだろうという。
好決算にも関わらず株価に反映されていないセクターは、精密・自動車・電機だ。「今後の為替動向に注目しているから、株価が上がりにくい」と説明する。
日本経済は堅調なので、「大幅な株価下落に悲観する必要はない」と話す。また、米国のサブプライムローンの影響も限定的だと断言する(4月4日の記事参照)。為替が安定すれば「8月末の日経平均は1万8300円を回復しているだろう」と予測する。
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