『大きく考えることの魔術』──自分自身を望ましい方向に導く方法:5分で読むビジネス書
自分自身を“優秀ではない”と考えていないか? 健康や知力や運を理由に、自分自身に弁解していないか? 大きく考えて自分のサーモスタットを前向きに修正すること。その考え方を探る。
ダビッド・J・シュワルツ『大きく考えることの魔術』(実務教育出版刊)
信念は、人生におけるサーモスタット(自動温度調節器)のようなものだ。その温度を上げるか下げるかによって、なしとげられるかどうかが決まる。
例えば、凡庸で何も優れたことのできない連中を研究してみればいい。彼らは、自分があまり優秀ではないと信じ込んでいるために、せっかくの人生からわずかなものしか受け取れないでいる。大きなことなどできないし、自分は重要ではないと思っているため、周囲からも重要な人物ではないという刻印を押されてしまっているのだ。(p.7)
タイトルにある「大きく考える」とは、いうまでもなく「小さく考える」の対極に位置する態度である。「小さく考える」とは、例えば、冒頭で引用した「自分があまり優秀ではないと信じ込んでいる」ような姿勢だ。
「大きく考える」ことも「小さく考える」ことも、労力として考えれば大差はない。にもかかわらず、「大きく考える」ようにするだけで、「小さく考える」時とは比較にならないくらいの収穫をもたらす、という。
なぜか。
本書では、その理由とそこに至るまでの考え方が解説されている。そして、この「大きく考える」態度を一過性のものに終わらせることなく、習慣として身につけ、「収穫」を上げ続けるための具体的な方法が紹介されている。
例えば、次のような具合だ。
章のタイトル | 具体的な方法 |
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第1章 成功できると信じよう | 信念の力を伸ばす方法 |
第2章 弁解するのはやめなさい | 健康を理由とした弁解癖を治す4つの方法、知力を理由とする弁解癖を治す3つの方法、運を理由とした弁解癖を治す2つの方法 |
第3章 自信を持ちなさい | 自信をつけるための手順、人に対する恐怖心の克服法、自信をつくる5つの行動 |
第4章 大きく考えなさい | 自分のほんとうの大きさを測る方法、大きく考える人の言い回しを身につける4つの方法、何ができるかを見つける方法 |
第5章 創造的に考えなさい | 創造力を開発する2つの方法、アイデアを開発し利用するための3つの方法 |
そして、これらをベースに以降の章ではより実践的なアドバイスが続く。
- 第6章 自分が考えるとおりの人になる
- 第7章 一流をめざしなさい
- 第8章 正しい態度をとりなさい
- 第9章 人に好かれなさい
- 第10章 行動する習慣をつけなさい
- 第11章 敗北を勝利に転じなさい
- 第12章 目標を設定しなさい
- 第13章 リーダーらしく考えよ
本書の内容を手っ取り早くつかみたいのなら、最終章である第13章「リーダーらしく考えよ」から先に目を通そう。本書のエッセンスが以下の5つのシチュエーションに分けられ、コンパクトに解説されているからだ。
- くだらない人間たちがあなたをおとしいれようとしたとき
- 自分にはその資格がないなどという考えが忍びよってくるようなとき
- 議論や争いが避けられないと思うとき
- 敗北・挫折を感じたとき
- 仕事についての進歩が止まったと思ったとき
BOOK DATA | |
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タイトル: | 大きく考えることの魔術 |
著者: | ダビッド・J・シュワルツ著 |
出版元: | 実務教育出版刊 |
価格: | 1470円 |
読書環境: | ×書斎でじっくり ◎カフェでまったり △通勤でさらっと |
こんな人にお勧め: | 今の自分に自信を持てないと感じている人。 |
ここに書かれている考え方や方法について「もっと詳しく読みたい」と感じられたら、初めて該当する章を開いてみるといい。
なお、「大きく考える」とは「リーダーらしく考える」こととほぼ同義である。大きく考えることによって、まず自分自身を望ましい方向に導くこと。それができて初めてリーダーとなれるからだ。
ちなみに、冒頭の引用文のあとには次のような一節がある。
「人というのは、自分自身の考え方の産物なのだ。大きく信ずれば、大きく成長するのである。だから、あなたのサーモスタットを前向きに調整することだ。自分は成功するという信念で、成功への攻勢を開始するのだ」
これを読んで、「やらないための言い訳」を思いつきそうになったら、第2章「弁解するのはやめなさい」から読み始めるといいだろう。
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