「競争社会」に“待った”、強まる平等志向
日本人は「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」を望まなくなったのか――成果主義を導入する企業が増え、所得格差が広がった結果、「終身雇用」「年功序列」といった日本型の人事制度を支持する人が増えている。労働政策研究・研修機構調べ。
1つの企業に定年まで勤める「終身雇用」を支持する人の割合は86.1%と、前回の2004年調査と比べ8.1ポイント上昇していることが、労働政策研究・研修機構の調べで分かった。また勤続年数とともに給与が増えていく「年功賃金」(同5ポイント)、社宅などの福利厚生施設を充実させるより、給与として支払う「福利厚生の給与化」(同3.4ポイント)も、調査を開始した1999年から一貫して増加。経営環境の変化によって終身雇用と年功賃金を見直す企業が増えているが、従来の“日本型人事制度”を支持する人が増えているようだ。
訪問面接による調査で、20歳以上の男女2315人(男性46.5%、女性53.5%)が回答した。調査期間は2007年9月21日から10月21日まで。
日本が目指すべき社会は「貧富の差が少ない平等社会」が急上昇
最も望ましい働き方として「一企業キャリア」(1つの企業に長く勤め、管理的な地位または専門家になる)と回答した人は49.0%、前回の2004年調査から6.1ポイントの上昇。一方で「複数企業キャリア」(いくつかの企業に勤め、管理的な地位または専門家になる)を望む人は24.6%と、同−1.5ポイントとなった。また「独立自営キャリア」は11.7%と、一貫して下落している。
これからの日本が目指すべき社会のあり方について、1999年から2004年までの調査では「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」が約4割で、「貧富の差が少ない平等社会」を上回って推移していた。しかし今回の調査では、「貧富の少ない平等社会」が12.6ポイント上昇し43.2%、一方「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」は−11.2ポイントで31.1%。成果主義による所得格差が広がる中、保守的志向を強める人が増えているようだ。
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