地方経済の苦戦が鮮明に――倒産発生率調査
企業の倒産率は、その土地の経済状況をダイレクトに表す指標だ。都道府県別に見ると、倒産発生率を高いのは地方。企業の倒産でも、「地域格差」が鮮明になっていることが分かった。
ここ数年、地域格差問題が取り上げられる機会が増えてきているが、実態はどうなのだろうか? 2006年の企業倒産発生率を都道府県別に見ると、企業全体のうち倒産した会社の比率が最も高かったのは高知で0.67%、次いで鳥取が0.63%、山形が0.59%、秋田0.53%という結果となった。
一方、比率が最も低かったのは新潟で0.26%、次いで愛知0.28%、神奈川・埼玉・滋賀・茨城が各0.29%となっている。地区別に見ると全国平均の0.38%より低いのは関東・中部だけで、北海道・東北・北陸・近畿・中国・四国・九州はいずれも全国平均より高い。倒産発生率を全体としてみると、2005年を底として上昇傾向にある。
いざなぎ超えの景気とはいうものの……
サブプライムローン問題などの影響で先行不透明な経済状況となっているが、政府は4月の月例経済報告で「景気回復はこのところ足踏み状態だが、回復局面は続いている」とし、2002年2月からの景気回復の期間はいざなぎ景気を超えて戦後最長となっている。しかし、その好景気を牽引しているのは産業が集中する関東と輸出産業が好調な中部で、そのほかの地域は影が薄い。実際に47都道府県のうち23都府県では、2006年の倒産発生率は前年の水準を上回っている。中でも大阪は2006年の企業倒産率が7位となっているが、2001年は1位、2000年、2002年も2位と産業の衰退が激しいようだ。今後地域格差はどうなるのか、その行く末が注目される。
東京商工リサーチ経済研究室による調査で、同社調べの企業倒産件数を分子に、国税庁発表の企業数を分母として、企業の都道府県別倒産発生率を算出した。企業数は国税庁税務統計の速報および確報に基づく(最新は2007年12月4日発表の「2006年度税務統計(速報)」による)。
順位 | 都道府県 | 倒産発生率 |
---|---|---|
1 | 高知県 | 0.67% |
2 | 鳥取県 | 0.63% |
3 | 山形県 | 0.59% |
4 | 秋田県 | 0.53% |
5 | 山梨県 | 0.51% |
5 | 長崎県 | 0.51% |
7 | 岩手県 | 0.48% |
7 | 大阪府 | 0.48% |
7 | 青森県 | 0.48% |
7 | 奈良県 | 0.48% |
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