ここ数年、専門分野に特化した人材関連ビジネスの市場規模は急成長を遂げている。人材派遣法の改正によって適用対象業務が広がったり、職業安定法の改正によって、人材紹介は港湾運送業務と建設業務以外すべての職種を扱えるようになった。こうした規制緩和を背景に新規参入業者が増加したため、2007年度の市場規模は1兆3500億円〜1兆4000億円ほどに達すると、矢野経済研究所では分析している。
この市場規模は人材派遣市場※全体(3兆9000億円)の35%前後、人材紹介市場※全体(1280億円)の約10倍。市場拡大の要因として「1990年代から2000年代初頭まで続いた景気後退局面を受けて、業務のアウトソーシングの高まりがあったため」(矢野経済研究所)としている。
面接及び電話による調査で、専門に特化した人材ビジネスの企業(ファッション、医療、営業・販売、技術者、主婦、棚卸代行、人材採用、EAP(従業員支援プログラム)、福利厚生代行)が回答した。調査時期は2008年1月から3月まで。
最も市場規模が大きいのは「技術者」で6318億円
最も市場規模が大きいのは「技術者」で、2007年度の市場規模は対前年比3.9%増の6318億円となる見通し。主に技術者を派遣している形が多いが、最近ではアウトソーシングも増えてきているという。「ただ技術者の市場規模は拡大基調にあるものの、伸びは鈍化傾向にある」(矢野経済研究所)
次いで市場規模が大きいのは「営業・販売」で、同4.1%増の2382億円と予測している。事業者数は小規模を中心に1000〜1200あり、派遣数は月平均で15万〜17万人。ただ「2007年には量販店への二重派遣問題※などが社会問題となったため、一部事業者ではビジネス展開を見直す機運もある。このため業界内での合従連衡が進むという指摘もある」(矢野経済研究所)
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