国土交通省は8月4日、自転車用の道路を2010年ごろから集中的に整備する方針を明らかにした。歩道と車道の間を縁石で分離した「自転車道」、車道の中に自転車だけが通れるレーンを作る「自転車レーン」の両方を重点的に整備していくほか、歩行者と自転車が混在する「自転車歩行者道」についても、自転車だけが通れるレーンを作り、歩行者が歩くレーンと分けていく方針。
自転車用道路の整備を進める背景としては、健康意識の高まりや原油高を受けた自転車離れなどの影響を受けて自転車の利用者が増え(参照記事)、自転車用の道路のニーズが高まっていることが挙げられる。国交省では自転車用道路を整備する狙いについて、「自転車が増えるに伴って増加している、歩行者と自転車の接触事故を減らすことが狙い。最大の目的は交通安全」(道路局地方道環境課)と説明している。
キーワードは“分離”
自転車と歩行者が接触する事故は、この10年で約4.8倍に増えている。国交省と警察庁は1月に、全国98カ所の地区を「自転車通行環境整備のモデル地区」に指定し、自転車と歩行者を“分離”することで、接触事故を減らす取り組みを進めている(参照リンク)。現在、国内に自転車が走行できる道路は約7万9000キロメートルあるが、このうち歩行者と自転車が分離されている道路は2500キロメートル(約3%)しかない。「自転車用道路が整備された都市としては、例えばパリが先進的。パリでは1900キロメートルの道路のうち、約400キロメートルが自転車道路。将来的には“パリ並み”を目指したい」(同上)
なお一部報道機関では、「2010年度から全国の主要都市を20カ所程度選び、1都市当たり50キロメートル前後の自転車専用道路を整備することを検討」と報じているが、国交省道路局地方道環境課では「何都市選んでどれくらいの長さの道路を整備するか、また今後のスケジュールなど具体的な予定は未定」とコメントしている。
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