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第1話 入社10年、突然のリーダー指名Webビジネス小説「中村誠32歳・これがメーカー社員の生きる道」(3/3 ページ)

中村誠、32歳。食品メーカーに勤める彼は、ある日、社内プロジェクトのリーダーに抜擢されます。ビジネスリーダーとして成すべきこととは? 部門横断型プロジェクトに対する心構えとは? 本連載では小説形式で、誠の成長を描いていきます。

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 よし。来週から、ちょっとリーダーらしい仕事のやり方にチャレンジしてみようかな。

 月曜の朝、誠は気合を入れて、普段よりも1時間以上早く出社した。アイティフーズはフレックス勤務が定着しているので、まだ人影はまばらだったが、すでに室長の藤木一郎が席にいたのはちょっと意外だった。

 藤木室長、おはようございます。

藤木 中村君、おはよう。月曜日なのに珍しく早いね。そういえば、先週東山さんから君の事を頼まれたよ。社内プロジェクトのリーダーともなれば、周囲の期待もかかるだろうから、もちろん私も協力するつもりだ。

 ありがとうございます。実際、相当プレッシャーも感じていまして……。

藤木 おやおや、始まる前からそんな弱気な発言は困るぞ。我々企画室の名誉にかけてもがんばってくれよ。とはいえ、確かに今まで中村君にはリーダー経験はなかったね。よし、私から、はなむけのアドバイスを1つ。リーダーだからといって、いきなり“大きな背伸び”はしないことだ。

 “大きな背伸び”をしない?

藤木 そう、運動する前の“ストレッチ”に例えると分かりやすいな。急激なストレッチは筋を痛めてしまうだろう。あれと一緒でまずは普段の自分ができるところまでやればいい。ただ、毎回少しだけやれることを増やしていくんだ。それが当たり前にできるようになったら、また少しやれる範囲を広げてみる。同じ仕事でも10分速くできた、同じ時間でも多くの仕事をこなせた、という蓄積が自信につながるからね。これは自分との戦いだからちょっと辛いかもしれない。ただし無理し過ぎでは長続きしないから、くれぐれもペース配分を考えてくれよ。

 自分との戦い、ですか……。

 昔の人が「早起きは三文の徳」といったのが、分かったような気がした誠だった。(第2話に続く)

眞木 和俊(まき かずとし)

ジェネックスパートナーズ取締役会長。米ゼネラル・エレクトリック(GE)で、シックスシグマによる全社業務改革運動に、改革リーダーのブラックベルト(専従リーダー)として参加後、経営コンサルタントに転身。

2002年11月、お客様とともに考え、ともに行動するパートナーとしての視点から、お客様の成果実現のために企業変革を支援し、事業価値向上に貢献するプロフェッショナルファーム「ジェネックスパートナーズ」を設立。日本企業再生を目指して、企業変革活動を支援している。著書に『図解コレならわかるシックスシグマ』『これまでのシックスシグマは忘れなさい』などがあり、中国、韓国、台湾等でも翻訳出版されている。


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