東京都は9月29日、無料で実施(9月4、5日)した「多重債務110番」の結果をまとめた。東京三弁護士会、東京司法書士会などの協力を得て、弁護士20人と司法書士1人が対応。2日間の相談件数は230件で、男女比は男性7に対し女性3だった。
相談者の平均年齢は51.2歳で、最年長は92歳、最年少は22歳。平均借入先は5社(借入先は同じ会社から複数の借入れがあるときは1社としてカウント)で、最も多かった人は30社に達した。また1人当たりの平均債務額480万5000円(住宅ローンまたは事業資金関係は除く)、借入をした理由は「低収入・収入の減少」が最も多く27%。このほか「事業性資金の補てん」(9%)、「ギャンブル・遊興費」(8%)、「保証・肩代わり」(5%)、「住宅ローンなど借金の返済」(3%)などの理由が多かった。
「多重債務者の多くは返済のために新たな借入れをするなど、いわゆる『自転車操業状態』に陥ることが多い。今回の相談でもこうした実態が把握された」(東京都)。東京都では関係団体との連携を図りながら、多重債務者の相談などに応じる「東京モデル」を実施している。「多重債務者がどこの相談窓口に来ても、適切に対応していく方針だ」(同)という。
多重債務110番での主な相談事例
相談事例1
1人暮らしでアパート暮らし。給料は16万円で、家賃を払うと残りが少なくギリギリの生活をしているため、臨時支出があるときはキャッシングをするという生活をしていた。借金総額は、10年くらいで300万円になる。アルバイトをして返済をして、現在100万円になったが、楽しいことは全くなく、昼夜、仕事の生活に疲れた。借金のない生活をしたい。これまで借りてきた消費者金融の金利は26〜29%なので過払いが発生している見込みがあると思うので、債務額を圧縮したい。(債務額約350万円、30代、女性)
相談事例2
債務総額は570万円。派遣社員として毎月25万円の収入があるが、このうち10万円近く返済に充てているため生活が苦しい。税金を滞納してしまい、給与差押さえ命令が送られてきた。税金徴収の窓口で事情を話したら、消費生活センターで多重債務相談を受けることを教えてくれた。消費者金融の金利は、25〜29%なので過払いが発生していると思う。債務額を圧縮することはできるか。(債務額550万円、40代、男性)
相談事例3
高校3年のとき母親が借金をして離婚し、母親と暮らすことになった。高校、大学はアルバイトをしながら学費を工面して卒業した。卒業後は、アルバイトをしながら暮らしているが、学生時代の借金と生活資金のための借入れで、現在150万円の借入れがある。今は、自営業の祖父母の家で暮らしているが、今後のことを考えて借金を整理したいと思っている。(債務額150万円、20代、男性)
相談事例4
勤めている会社の経営が悪くなり、月給が減るようになり、2007年からボーナスが出なくなった。妻の収入も減り生活が苦しくなっていたが、子どもの学費などの臨時支出が増えたため、消費者金融やクレジットカードで借金を繰り返して補てんをしてきた。兄弟や親戚にも借金をしてしまった。
法律相談を受けたら、自己破産を勧められた。兄弟や親戚は、自分を信用してお金を貸してくれたので、自己破産をすると、今後の付き合いができなくなる。ほかの方法で債務を整理したい。(債務額約750万円、50代、男性)
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