出張のとき、こんなホテルに泊まってみたい――九龍「W香港」:編集長ヨシオカの香港レポート(3/3 ページ)
「出張で泊まるホテルで、ぜいたくしたって仕方ないじゃない」――そう思っていた記者は、今回泊まったWホテルで考えを改めた。「こんなホテルがあるんだ」と驚いた、そのサービスとは?
絶景のジャグジー、屋上にプール
このクラスのホテルの常として、W香港はトレーニングジムやスパ、プールも備えている。
これらのゾーンはすべて、水にまつわるネーミングになっている。トレーニングジムは汗をかくから「SWEAT」、スパやプールはもっと身体がぬれるから「WET」。SWEATやWETは客室よりも上の階にあり、専用エレベーターで上がるようになっている。
トレーニングジムもスパもとても眺めがよく、太陽の光がさんさんと差し込んできて気持ちがいい。朝、早起きしてジャグジーに入ればよかった、と後悔したほど。
屋上に上がって、さらにびっくり。73階でエレベーターを降り、自動ドアを開けて外に出ると、そこにはプールがあったのだ。見下ろすとクラクラするくらい高いところにあるプール、香港の景色を見下ろしながら泳いでみたかった……。
名札に名前がない理由
ぐるりとホテルの中を案内してもらっていて、ふとあることに気が付いた。ホテルの従業員はみな、制服を着て胸に札を付けているのだが、そこに名前が書かれていない。ただ「W」とだけ書いてあるのだ。
「“ていねいでも固いサービス”ではなくて、もっとフランクで、暖かいサービスを心がけているんです。お客様も私たちも、『お名前は?』とお互いに気軽に聞けるようなサービスを目指す、Wとしか書いていない名札にはそういう意味があります」(W香港広報)
もう1つ気が付いたのが、カーペット敷きの部分がほとんどなく、ほとんどの床は大理石など固い素材でできていること。そういえば金色や茶色など暖色系でゴージャスな飾り付けではなく(格式のあるホテルには多い)、モノトーンをベースに赤、紫などの色が差し込まれ、モダンで都会的なデザインも印象的だ。
「最初のWホテルがオープンした時、それは今から10年前ですが、25〜45歳のお客様を狙ったと聞いています。Wをいいと言っていただけるお客様は、例えば、音楽が好き、ファッションに興味があるなど、ライフスタイルを大事にする人。そういうお客様に受け入れられるようなモダンなデザインを心がけています。W香港では主に2人のデザイナーにインテリアデザインをお願いしました。そのうちの1人は、日本人デザイナーの森田恭通さん※です」(同上)
エネルギッシュな街、香港ではホテルの競争も激しく、毎年大型ホテルが3〜4軒ペースでオープンしている状況だ。W香港の隣に建設中の超高層ビルにはフォーシーズンズホテルが入る予定だし、ハイアットも近くオープンが決まっている。
冒頭に書いたとおり、仕事で泊まるホテルに豪華さは必要ないと思っていた記者。しかしW香港のさまざまなサービスを体験するうちに、「こういう形のおもてなしもあるんだな」と考えを改めた。
ちょっとぜいたくではあるけれど、願わくば出張で、こんなホテルに泊まってみたい――そう思わせるW香港だった。ちなみに、日本では初のWホテルとなる「W横浜」は、赤レンガ倉庫の近くに2010年夏に開業予定。オープンしたら見にいってみようかな、と思っている。
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