雇用環境はさらに悪化? 4社に1社が“従業員減らし”
景気悪化などを背景にリストラを行っている企業が増えているが、実際の削減状況はどうなっているのだろうか。帝国データバンクの調査によると、2008年末までに従業員を削減した企業は15.4%。また2009年以降も、削減を検討する企業が増加傾向にあるようだ。
景気後退を理由に“派遣切り”などを行っている企業が増えているが、従業員の削減状況はどうなっているのだろうか。2008年末までに「正社員」「非正社員」のどちらか、または「両方」を削減した企業は1万731社中1649社(構成比15.4%)に達していることが、帝国データバンクの調査で分かった。また2009年以降、削減を検討している企業を見ると、同2399社(22.4%)と、さらに増加傾向にあるようだ。
この結果、景気後退を要因として従業員を削減した(検討している)企業は計2890社(26.9%)と、4社に1社は雇用調整を行う見込み。帝国データバンクでは「雇用環境の悪化が深刻さを増していくのは避けられない」としている。
雇用調整の実施(検討)を業界別で見ると、特に「製造業」(1107社、35.7%)が目立った。雇用形態による違いは大きく、「非正社員」(950社、30.7%)が「正社員」(611社、19.8%)を大幅に上回っている。また自動車関連の動向を示す「輸送用機械・器具製造」の雇用調整も悪化しており、「非正社員」(53社、57.0%)は「正社員」(20社、21.5%)を大きく上回った。
従業員の削減を実施した企業からは「売り上げの減少が大きく、雇用が確保できない」(ネジ製造、静岡県)、「業務量の急激な減少で、背に腹はかえられない」(無線通信機器製造、栃木県)など、「業績の急速な悪化で企業の存続のためにはやむを得ないという悲痛な声が多数挙がっている」(帝国データバンク)
一方、2008年末まで「削減はない」という企業は、「正社員」で8566社(79.8%)、「非正社員」で5985社(55.8%)。しかし2009年以降「削減する予定はない」という企業は「正社員」で6688社(62.3%)、「非正社員」で4253社(39.6%)と2008年末と比べ、それぞれ17.5ポイント、16.2ポイントの減少。
削減する予定のない企業からは「すでにこれ以上削減できないくらいの人員になっている」(呉服・服地小売、北海道)など、ぎりぎりの人員でやりくりしている企業が目立った。また「決して多くない給料で頑張ってくれている社員を大切にしたい」(出版・印刷、大阪)といった企業もあった。
調査は2008年12月17日〜2009年1月5日まで、2万455社を対象に実施し、1万731社から回答を得た。
関連記事
- 「ウチの会社は大丈夫」といってたのに……内定取り消しで“被害”に遭った学生たち
景気悪化による影響で、内定取り消し問題が深刻化している。社長が学生に「ウチの経営は問題ない」と言いながら数週間後に内定取り消しというケースもあり、厚生労働省は4月ごろ、“問題企業”の名前を公表する。 - 退職金は年収の2倍? 交渉の“切り札”を用意せよ
深刻な経済危機が続く中、大企業の社員といえども“クビ切り”の不安からは逃れられないため、「心構え」と「理論武装」だけは必要だろう。そこで「有利な条件を引き出した上で、会社を辞める」方法を紹介する。 - 会社を辞めたい……そう感じる人が多い業種
会社の社員であることに「誇りを感じている」人はどの業種が多いのだろうか。ネットマイルの調べによると、「電力・ガス・水道」や「専門コンサルタント系」で働く人が目立った。一方で「誇りを感じられない」と感じる人が多い業種は……? - たかが知れている? 切られ続ける派遣社員の“暗黙知”
景気低迷の影響を受け、「派遣切り」を行う企業が相次いでいる。それは製造業の現場だけにとどまらず、事務職の派遣社員にも飛び火しつつあり、新たな問題を抱えることになりそうだ。 - 正社員の間でも“格差”……上場企業の年収1556万円と192万円はどこ?
上場企業の平均年収ランキングを見ると、上位にはテレビ局や商社、金融などがランクイン。平均年収1000万円以上がズラリと並ぶ一方で、下位には年収300万円以下の企業もあり、“給与格差”が広がっているようだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.