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太陽光発電世界1位――ドイツのソーラー事情:松田雅央の時事日想(2/2 ページ)
世界1位の太陽光発電大国となったドイツ。太陽電池生産は年率50%のペースで増えており、経済危機の中でも成長産業として有望視されている。具体的にどう使われているかリポートしよう。
世界最大のソーラーボート
古城で世界的に有名な観光都市ハイデルベルクのソーラーボートプロジェクトもユニークだ。
旧市街地の脇を流れるネッカー川には観光船が多数運行しているが、中でも独特のデザインで目を引くのが全長25メートル、重量41トン、定員110人のソーラーボートだ。その名の通り太陽光発電で航行する電動船(バッテリー搭載)で、イルツホーファー船長兼オーナーによれば世界最大のソーラーボートだという。太陽電池だけで1日6回(計300分)の遊覧航行の電力をまかなえないので一部は一般電力を使っているが、それでも70%は自家発電というからなかなかの自給率だ。
このソーラーボートは新しいアトラクション、そして再生可能エネルギー利用の象徴として環境都市でもあるハイデルベルク市が計画し、船主を募集した事業である。船体には高価だが腐食しないステンレスを用いているため塗装を施す必要がなく、省資源仕様でもある(建造費は約100万ユーロと割高)。
観光と環境の目玉として導入されたこのソーラーボートはエンジンの騒音と振動が全くなく、まるで滑るように水面を進む。「太陽光って人と自然に優しいエネルギーなんだ!」、そう実感させてくれる素敵な乗り物である。
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