マスコミは“斜陽産業”? 週刊誌が生き残る条件とは:出版&新聞ビジネスの明日を考える(3/3 ページ)
新聞、テレビ、雑誌など既存メディアはもはや“斜陽産業”に陥っているのかもしれない。中でも雑誌は収益源などを理由に休刊が相次いでいるが、どのようにすれば生き残ることができるのだろうか?
マスメディアはこれまで、長く続いた紙の歴史の中に電波媒体が新たに登場し、両者は潰し合うこともなく共存関係にあった。そこに降って沸いたのがインターネットだった。ところがインターネットは紙と電波を脅かす存在となり、すでに広告分野のマーケット規模は、既存メディアを凌駕(りょうが)するほど拡大の途上にある。メディアとしての質についても紙と電波媒体の両方の性質を持ち、かつ双方向という特性を生かして、情報の発信者と受信者の距離を限りなく縮めている。
ネットは誰でも情報が発信できるからこそ、その中身については玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の感はぬぐえないが、少なくとも既存メディアが発信する情報については一定の信頼は担保されている。おそらく時代の趨勢(すうせい)として、週刊誌をはじめとする従来型のメディアがネットへ完全移行する日も遠からず訪れるだろう。いつでも・どこでも・誰にでも簡単に読めて、かつ課金も容易な携帯型の端末さえあれば、少なくとも新聞や週刊誌は必ずネットへと完全移行するはずだ。
最後に、ネットがあれば新聞やテレビ、週刊誌は不要という意見もたまに聞くが、これは暴論すぎるだろう。政治家や官僚、大企業の不祥事を表沙汰にできるのは、圧倒的な取材力と情報網を持つ新聞以外にない。新聞やテレビが取り上げない権力者のスキャンダルなら雑誌の独壇場だ。「義理が廃ればこの世はヤミよ」というセリフがあるが、まともな新聞や週刊誌が廃れば、悪党たちの思う壺。それこそ「この世は真っ暗なヤミなのよ」である。
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