人が人を嫌いになるメカニズム(2/2 ページ)
「この人嫌い!」「この人が悪い!」と、職場の人間関係に悩んでいる人も多いはず。そこで他人を責める前に、精神分析の世界でいう「シャドー」と向き合ってみてはいかがだろうか? そうすると悪い職場と思えた場所が、少しは過ごしやすくなるかもしれない。
こういうのをプロジェクション、投影、と言います。つまり、自分が抑圧しているものを、他人に投影して、他人がその悪い部分を持っていると思い込み、他人を憎む、嫌いになるということなんですね。
このことを知ったとき、私は困りました。私は「嫌いだ!」と思う人がたくさんいたからです。ひょっとして、自分の中の嫌いな部分を人に投影して、嫌っているだけなのではないか?自分は自分のせいで人を嫌っているのではないか?
そういうふうに考えるようになると、人に憎悪というか、そういうものを感じたときに、ひょっとして、自分のシャドーにそれがあるのか? と思うようになりました。そうすると、自分がそのシャドーと向き合い、自分の一部分だったにも関わらず、捨て去ってしまったことを認め、統合することができるようになってくるんですね。すると、大嫌いだと思っていた人への憎悪は沸きあがらなくなるようになってくる。すごく不思議ですけどね。
まずは自分が変わってみる
それで、思うのです。もしもみんながこういう考え方をしたら、世の中が住みよくなる、そしてみんなが成長に向かうことができるようになるんではないかな、と。だから、プロジェクトをやっている時に、人に負の感情を感じて、ぶつかりあうこともありますよね。その時には相手が成長に向かうことを信じつつ、自分のシャドーを統合していくという作業をやっています。
そうすると、意外と嫌いだと思った人が、そうでもないように思えてきたりします。そして、気分的に楽になってプロジェクトを進めることができるようになる。きっと職場でもそうではないかな、と思います。嫌いな人がいっぱいいる職場というのはいい職場ではないかもしれません。
確かに、絶対的にいい職場、悪い職場というのもあるかもしれませんよ。それは前提です。ただ、「この人嫌い!」とか、「この人が悪い!」と人を責めるよりも、自分が変わること、自分のシャドーと向き合うことを選ぶことによって、悪い職場と思えていた場所が、少しは過ごしやすくなったりするのではないでしょうか?
そういうことを触発して、いい職場にしていけるマネジャーというのが、素晴らしいのではないかな、と思いますが、そういうことをマネジャーには期待できない場合が多いと思います。ですから、こういった知見を知ったとしたら、信じる信じないは自由ですが、まずは自分が変わってみる試みをやってみてはいかがでしょうか? と思うのです。(伊藤達夫)
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