喫茶室ルノアールにあって、スターバックスにないもの(3/3 ページ)
東京に住んでいる人であれば、誰もが目にしたことがある喫茶室「ルノアール」。スタバなどの欧米スタイルのカフェに押され、「残念な喫茶店」になっているかと思いきや、業績はまずまず。決しておしゃれではない「ルノアール」は、なぜお客から支持されているのだろうか?
スターバックスと比較してみる
それと比較してスターバックスは、どうだろう。ルノアールと同じように、職場とも家庭とも違う安心して集うことのできる「第三の場所(サードプレイス)」を求める人々の欲求を満たしたところに成功の秘けつがあると言われている。しかしそれは、ルノアールとは異質のものだ。
互いに職場とも家庭とも違う、非日常のプレイスであることは間違いない。しかしスタバは、何かと何かの、時間の合間のプレイスである。目的ではなく、日常生活の中継拠点としてのプレイスである。目的の場所ではなく、機能優先の場所である。
街のシステムとしてのプレイスであるから、思い思いに過ごす人達が、「群」にしか見えない。お客様が、互いに消費者であり、同志ではない。その機能を享受しているだけである。便利で、おしゃれなのだが、喫茶室「ルノアール」で感じる一体感がない。喫茶室「ルノアール」が、「自分の居場所」であるなら、スターバックスは「みんなの居場所」ということだろうか。だから、どの街に行っても、スターバックスはスターバックスで。その街のルールとは、異質な感じがある。
ただのおっさんの屁理屈と言われればそれまでなのだが……。スターバックスを商談の場所に選ぶビジネスマンより、喫茶室「ルノアール」を商談の場所に選ぶビジネスマンの方が、コミュニケーション上手の、できるビジネスマンではないだろうかと思う。しゃべりやすい、落ち着くというだけでなく、ビジネスの同志である連帯感を、お店の空気が一気に後押ししてくれるから。
カフェチェーンやマクドナルドは、コーヒーのそのものの味で、競争力を高め合ったりしている。メニュー開発や販売促進に躍起になっている。その一方で、喫茶室「ルノアール」は、密かに復活。カタカナのマーケティング用語で、その強みを分析することは難しい。『喫茶室』へのこだわりは、コーヒー戦争とは、一線を隠している。これぞ、戦いを略す。「戦略」ではないかと考える。(中村修治)
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