コラム
フィンランドの取材で感じたこと。それは日本の将来のヒント:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
フィンランドを代表する企業といえば「ノキア」だが、「ITだけに頼る時代は終わった」といった声をよく聞く。もちろんIT分野を捨てるというわけではなく、それに取って代わる技術分野を確立することが必要だという。それは……?
知識の集積と技術の集積
外国人の力を使ってでも、国として知識や技術の集積を図る。それが国を発展させ、社会を安定させる道だというフィンランドの考え方は、日本の将来を考える上で重要なヒントになるのかもしれない。
我々はとかく外国人の力に頼らないようにすることに重きを置きがちだが、その一方でどうやって人口を増やすかという観点で考えることはほとんどない。例えば看護師や介護師を海外から導入するにしても、日本の資格試験に合格しなければさっさと国へ帰れと言わんばかりである。合格を支援するとか、できるだけ定住してもらうというような意見にお目にかかったことがない。
産業構造にしてもアニメのような文化を大事にするというのは結構なことに違いないが、アニメの殿堂を造ることが、その発展につながるのかという議論が行われないところに発想の貧困がある。知識の集積、技術の集積という考え方は、日本でもよく言われることだが、それをどのように実現していくのかが今問われなければならないことだ。
関連記事
- 「それも麻生さん」ということ。“鳩の乱”の幕切れ
“泥仕合”に陥っていた日本郵政の西川社長と鳩山総務相の対立は、鳩山大臣が辞任するという形で決着した。ここまで紛糾させた麻生総理に対し「リーダーシップの欠如」が指摘されているが、それでもひとつの見識がうかがえた。それは……? - 日本経済はズブズブと沈む? その原因は自民党の“慣れ”
さいたま市長選で民主党埼玉県連が支持した清水氏が当選した。この選挙は民主党が鳩山代表に交代して初めての選挙なので、政権交代を掲げる民主党にとって追い風になるかもしれない。 - 日本経済に“薄日”は差しているのか? 答えは「No」である
先日、ある新聞の見出しに「世界経済安定の兆候」と書かれていた。記事中の見出しには「下振れリスクなお継続」とバランスをとっていたが、本当に世界経済は安定に向かっているのだろうか。少なくとも日本については“楽観的”になれないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.