スキマがない……マクドナルドのプロモーション戦略:それゆけ! カナモリさん(3/3 ページ)
「クォーターパウンダーを食べて、不況で暗いニッポンを明るい“バラ色”に塗り替えよう!」。日本マクドナルドが展開するプロモーションが面白い。任天堂と組んだ「マックでDS」、安室奈美恵や益若つばさを起用した「日本バラ色計画」。次々と繰り出されるプロモーション戦略の狙いは?
次はどう来る?
「マックでDS」を開始し、期間限定で「日本バラ色計画」を展開。これらのプロモーションには、「セグメンテーションのスキマを作らない」というマクドナルドの狙いが隠されている。そして、売上げ・利益を確保するには、客数を増し、客単価を上げ、来店頻度を高めることが基本の「き」であるが、マクドナルドのプロモーションでは、それがカッチリと整合性を持って、励行されているのである。
「マックでDS」の第1弾キャンペーンは7月17日まで。「日本バラ色計画」のバラ色Tのキャンペーンも7月16日まで。夏休み本番にはさらなるキャンペーンが用意されているのは想像に難くない。
手堅い支持層の低価格ランチ客とガッツリ食べたい男性客。それに、あしげく通ってくれる親子と、ノリでガッツリ食べてくれる女子を取り込んで、次はどこに行くのか。
夏休みに学生の利用は黙っていても増えるだろう。だとすれば、狙いは他の層。暑い夏場にちょっとあっさりヘルシーなメニューで、ガッツリ食べないお姉さん女子を狙うか、はたまた、暑さに負けるなと、ちょっと年齢の高い層に「土用のマクド」でも仕掛けるか……。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサ ルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダ イヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディ アへの出演多数。 一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
関連記事
- ついに全国に“上陸”――マクドナルドのクォーターパウンダー
日本マクドナルドは関東圏などで販売していた「クォーターパウンダー」を、4月28日から全国で販売する。通常ビーフパティの約2.5倍のハンバーガーが、ついに日本全国に“上陸”する。 - 朝ごはんにも飛び火? “特大バーガー決戦”
“特大バーガー決戦” が、盛り上がっている。お腹いっぱい食べたい消費者を取り込み、客単価を上げようと、各チェーンは火花を散らしている。さらにマクドナルドは朝食メニューにも特大ホットドッグを投入するなど、戦線は拡大しそうな気配だ。 - なぜマックは“高級バーガー”と言わないのか? クォーターパウンダーの売り方
重さ4分の1ポンド、通常の2.5倍の牛肉パテが入っている「クォーターパウンダー」を発売したマクドナルド。かつて「マックグラン」などを販売し、1年で撤退したマクドナルドだが、なぜこのタイミングで発売したのだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.