120秒が5秒になった――LEDがなし遂げた“ネイルの大発明”とは:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
従来のネイルでは、ジェルネイルが乾燥するまで120秒も待たなくてはいけなかった。しかし、松風とネイルラボが開発したLEDライトを使えば乾燥時間が5秒にまで短縮できるのだ。
広がるLEDの用途
松風とネイルラボの共同開発は3年ほど前にスタートした。きっかけは歯科材料とネイルケア材料の技術的な関連の深さから。歯の充填材やホワイトニング材も、ネイルケアのジェルも、生体親和性と安全性が求められるのは同じ。歯医者さんで詰め物をした後、「ちょっと熱くなりますよ?」と光る器具を口に入れられた経験のある人も多いだろう。あれもLEDライト照射だ。
LEDは信号や屋内外の照明、自動車ランプだけではなく、電子看板や照明通信ネットワークなど明かり以外の用途にも展開が広がっている。LEDが大きな市場になるのはその応用範囲の広さゆえだ。
技術ブレイクスルーがネイル業態を変える
Prestoのユニークさにはもう1つ、“かくはん不要のカラージェル”を使うことも挙げられる。従来のジェルの中には固まりやすいものも多かったため、かくはんが必要だった。ようじでよく混ぜるそうだが、ムダが出るし(ようじに付いて捨てるジェルは14人分に相当)、不衛生。容器が積み重ねられて、狭いスペースが有効活用できるなど、出張ネイリストに細かい配慮もある。
ネイリストのウケは上々のようだが、今までと違うシステムなので新規投資になってしまう(Prestoはプロ向きなので市販はせず卸のみ)。そこがハードルにはなるが、このシステムを利用すれば速さを訴求してエキナカに“QN(クィックネイル)サロン”を展開することも可能。起業家には“モーニングネイルケア”を検討していただきたい。技術ブレイクスルーがネイル業態を変えるまでに“長い照射時間”はかからないだろう。
関連記事
- 金融不況で消費者の価値観が変化?——新しい時代の商品の売り方とは
金融不況をきっかけに大きく変化した消費者の意識。今何が必要とされ、何が必要とされていないのか。東急ハンズやAZスーパーなど、販売の現場の動きから分析する。 - キャラ弁は世界の“OBENTO”へ——達人、小川真樹さんに聞いた
アニメなどのキャラクターを食材で表現した“キャラ弁”。キャラ弁作りの達人、小川真樹さんは「キャラ弁のおかげで長男が幼稚園になじめるようになった」という。彼女はキャラ弁にどんなこだわりを持っているのだろうか。 - 大切なのは患者? それとも臓器?——がん闘病記を書いた理由
がん手術の経験をもとに、筆者の先輩が闘病記を書いた。きっかけとなったのは、大病院で医師に感じた、“違和感”だったという。それは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.