コラム
あえて異議を唱えよう! 金太郎飴記事は“いらない”:相場英雄の時事日想(2/2 ページ)
新聞やテレビなどで「同じトーンの記事が並んでいるなあ」と感じたことがある人も多いだろう。いわゆる“紋切り型”の報道だが、このままの状態が放置されれば、読者や視聴者をミスリードする可能性があるかもしれない。
高まる広報マンへの依存度
筆者は自身の仕事を誇示しているのではない。主要メディアが紋切り型の報道を連発してくれれば、へそ曲がりのフリー経済ジャーナリストに執筆依頼が舞い込む。本稿のような記事を書けば自身の手の内をさらすことになるので、本来ならば触れたくないのが正直なところだ。だが、先に触れた株式市況記事、あるいは改正薬事法、プリウスしかりで、あまりにも捻(ひね)りがなく、企業の広報担当者からのレクチャーを鵜呑(うの)みにしすぎだと感じているのだ。
現役の記者時代、筆者は先輩記者やキャップから繰り返し言われたことがある。「1枚のプレスリリースをもとに記事を書いたあと、ライバル社、あるいは敵対関係にある企業から話を聞け」と。
プレスリリースと広報マンの説明だけでは、企業の思惑だけ、ひいては広報誌のライターと同格だという戒めだ。翻って現状はどうか。紋切り型の記事が続出しているのは、あと一手間の取材を怠っている証左ではないのだろうか。
青臭いことを言えば、記事は企業のためでなく、読者、あるいは視聴者のために書くものだ。仮に記者が一手間、二手間加えた記事を書いているのに、それをメディアの管理職たちがクライアントに過度に配慮する形でボツにしていたとしたら……この国の先行きは決して明るくないと思うのだが。
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