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コラム

ドイツ人は戦争という過去と、どのように向き合っているのか?松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

日本と同様、ドイツも第二次世界大戦の敗者として終戦を迎えた。ドイツは戦争を繰り返さぬよう平和教育に力を注いでいることは確かだが、この種のステレオタイプなドイツ像と現実はどこかずれているのではないだろうか?

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伝え行くべきもの

 ダッハウ強制収容所の開放60周年記念式典(2005年)で収容所を生き延びたダッハウ収容者協会長が次のようなことを語っていた。「後世に強制収容所の悲劇を伝えるには感情を抜きにして客観的な事実だけを残していかなければならない」

 多くの仲間を失い九死に一生を得た彼自身、ドイツに対する恨みの深さは想像を絶するものがあるはず。でも被害者がその思いだけを訴え続ければ、あるドイツ人は耳を塞ぎ、あるドイツ人は逆に戦争を正当化し、最後は感情論の泥沼にはまってしまう。ドイツ人の精神が特別タフにできているわけではない。そして戦争を経験した世代がいなくなった後に残るのは客観性のない感情的な対立だけだ。

 こうした考え方には異論もあろうが、被害者側だけでなく加害者側も含めて悲劇の歴史を少しでも長く伝えようと思えば、たぶんこれしか方法はないのだと思う。


テレビインタビューに答えるダッハウ収容所協会長
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