日本の靴業界を変えられるのか? ファストリの「ユニクロシューズ」が誕生
ユニクロを展開するファーストリテイリングは9月16日、新事業として「ユニクロシューズ」を立ち上げた。同社は2005年に「ワンゾーン」を買収し、靴事業を展開してきたが、販売不振に陥り事業を縮小。今後はユニクロで培ったノウハウを生かし、靴事業の再生を目指す。
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、グループの新事業として「ユニクロシューズ」を立ち上げ、16日から販売を開始した。同社は2005年に靴小売チェーンを展開する「ワンゾーン(店舗名:フットパーク)」を子会社し、靴事業を展開してきた。しかし販売不振で赤字が続いていたことから、7月に縮小を発表。今後はユニクロで培ってきた製造小売業のノウハウを生かし、靴事業の再生を目指す。
ユニクロシューズのラインアップは男性用4アイテム、女性用4アイテムの、合計8アイテム。男性用は定番のスニーカーのほか、ユニクロのライダースジャケットでも使用している合成皮革・ネオレザーを使ったサイドファスナーブーツ、本皮ベロア素材のベロアデザートブーツなどを用意している。価格はキャンパススニーカーが1990円、エナメルスニーカーが2990円、ネオレザーサイドファスナーブーツとベロアデザートブーツがそれぞれ4990円。ユニクロ大型店、ビュー事業店舗、ジーユー、ユニクロオンラインストアで販売し、初年度の売り上げは40億円を目指す。
靴のすべてに携わっていく
2020年には売上高5兆円という目標を掲げているファーストリテイリング(関連記事)。中国やアジアでの出店を加速するほか、欧米などの主要都市でも出店し「世界一のアパレル製造小売業を作りたい」というが、なぜ新ブランドで靴事業に乗り出したのだろうか。
柳井正会長兼社長は「日本では靴の事業がまだまだ発展する余地があり、まだまだ開発されていない。本当に良い靴が、あらゆる人に提供されていないと思う。そこでユニクロシューズはあらゆる人に良いシューズを提供していきたい」と語った。靴といえば高いブランドか安いモノ――といったイメージを持つ人も多いと思うが、そんな常識も「打破していきたい」(柳井社長)という。
これまで同社の靴事業はプライベートブランドと他社の商品を販売してきた。しかしユニクロシューズでは「100%オリジナルブランドにこだわった。いわば靴の製造小売業だ」(GOVリテイリングの中嶋修一社長)としている。靴の企画から始まり、流通、製造など、靴に関するすべてのことに“関わっていく”考えだ。例えば靴小売チェーン「ABC-MART」との違いについて、柳井社長は「(ユニクロシューズでは)すべてを一環して行う。ABC-MARTとは業態が違う」とした。
また海外での販売について「国内だけでなく海外でも展開しようと思っている。まだ国内でスタートした段階で、海外展開は次の段階として考えたい」(柳井社長)という。
新しい靴ブランドで“1歩”を踏み出したファーストリテイリング。合計8アイテムというのは少し寂しい感じもするが、「靴事業で数千億円の売り上げは可能」(中嶋社長)と強気の構え。今後は製造や流通などで協力できるパートナー企業を募り、事業拡大を目指す。
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