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コラム

“韓流”ドラマで学ぶ韓国文化ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

『冬のソナタ』を機に、日本でも認知が高まった韓国ドラマ。実際に見てみると、“韓流好き”な人以外にとっても面白いもの。韓国(朝鮮半島)の歴史や文化を知る題材として見ると、学ぶところが多いのです。

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日本への対抗心について


『アイシング』

 『アイシング』というアイスホッケーをテーマにしたスポーツものドラマ。最後の方で世界選手権があるのですが、決勝戦は「韓国対日本」です。

 これ非現実的ですよね。アイスホッケーで、米国、カナダ、北欧の国々を破って、日本と韓国が決勝戦に進むなんてありえない。でも相手国は日本でなければならないのです。

 試合前に日本の選手たちが、「お前たちが日本に勝つなんて無理さ」と刺激します。するとチーム内で仲違いしていた韓国メンバーは一気に結束力を高めます。「韓国人同士でもめてる場合じゃない。団結して日本に勝たねば!」と。そして“技術的には自分たちより強い”日本チームに、韓国チームは“精神力”で勝利をおさめます。これも何かを象徴していますよね。

 ところで、このドラマの中では日本人役を韓国人が演じています。日本語を話しますが、とてもへたくそな発音です。ほかのドラマには「本来は日本語で話すべきところですが、便宜上、韓国語でお送りします」というテロップが入って、日本の将校が韓国語で話しているドラマもあったりします。ドラマを作った当時は、自分たちのドラマが日本で放映されるなんて全く考えていなかったということでしょう。

 話はそれますが、ソウルにロッテワールド民族博物館という施設があります。精巧なろう人形とジオラマで韓国の歴史を再現している人気の観光スポットです。その博物館の出口(と思えるところ)を出ると、広いおみやげコーナーがあります。よくあるパターンです。

 でも、いったん終わったと思える展示の端の方に“目立たない表示”が“ハングルだけ”で書いてあります。そっちに入っていくと「日帝侵略時代」の展示が始まるのです(ちきりんがこの博物館を訪ねたのは1993年頃なので、今はどうなっているか未確認です)。

 これ、どういう意味か分かりますか? 日本人観光客にもこの博物館に来てほしい。おみやげも買ってほしい。でも、日帝侵略時代を普通に展示したら、日本の旅行会社がルートに組み入れてくれないかも。だから、ちょっと分離して分かりにくくして……ということでしょうか。もしくはもっと純粋に「お客さまへの商売上の配慮」かもしれません。

 何が言いたいかというと、「そういう配慮が始まる前の韓国映画やドラマを見ると、韓国の日本に対する本音が描かれていて興味深い」ということです。これから作られる韓国ドラマでは最初からそういう配慮がなされ、本音は隠されてしまうでしょうから。

エリートの留学先について

 韓国ドラマの主役男性の多くはエリートで、大半は留学経験があるという設定です。男性の留学先は必ず欧米です。彼らは欧米に留学した後、日本支社で働いたり取引をします。これは何を意味するか? 「男性にとって日本は学ぶところではなく競争する相手国だ」と言いたいのでしょう。

 一方、女性のエリートは日本に留学しています。このあたりも微妙に面白い。女性で米国に留学する人は「エリートだけど、性格がきつい女性」として描かれます。「儒教的な意味でのすばらしい女性像」が、欧米ではなく日本に留学することで表現されるわけです。「欧米は女が1人で住む場所ではない」というのが韓国の価値観なのでしょう。

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