なぜガリガリ君は、イチゴ味が定番化しないのか?(2/2 ページ)
年間2億5500万本も売れている氷菓子「ガリガリ君」。定番のソーダ味のほか、コーラ味や南国パイン味などが売れている中、なぜイチゴ味は定番化されていないのか。その理由を考えてみた。
くだらないプライドから生まれた
ここに、オンシーズンとオフシーズンに、ネット上で、ガリガリ君の何が語られているかを調査した結果がある。その結果を見ると、1年中を通して多種多様なフレーバーについての話題が多い。次から次へと開発されるフレーバーは、ファン達の共通の話題なのだ。それも、その味が、覇道=ニッチであればあるほど、「そうきたかぁ」ということで口コミは、盛り上がる。定番化したソーダ味や、コーラ味以外のフレーバーの話題は、あいさつのようなものだ。それがなくなっても、こっそりと話題にする流儀があって、そこに「イチゴ味」のような王道のフレーバーの入る余地はない。
メーカーと消費者が共に創った独自の世界感が、王道のフレーバーの入る余地をなくしているのだ。
さらに、「入浴剤」(バンダイとのコラボ:2007年6月に発売)や、「ガリ子ちゃん」(クリーム入りアイス:2008年11月に発売)の話題が、オフシーズンに見られる。“季節性”を超えるための、氷菓子を越えた作戦が、アイス売り場のために繰り広げられ、それがことごとく成功している。徹底した「くだらなさ」は、季節の壁も、氷菓子という常識の壁も、軽く越えてしまったのだ。
アイスキャンディーなんて、実は、なくても困らない。他の商品だって山ほどある。だからこそ、こだわらなくてはならないことがある。最初から、「覇道」であることを覚悟したからこそ生まれた「くだらなさ」は、メーカー側の意図せぬ物語を市場に定着させることになった。
年間3億本に迫るロングセラー&メガヒット商品は、「夏の王道=イチゴ味」を商品企画会議の俎上(そじょう)に上げないという、くだらないプライドから生まれたのではないかと予測する。(中村修治)
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