コラム
鳩山政権の“アキレス腱”はどうなる:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
中小企業の借り入れについて「現代版徳政令」の導入を訴えている亀井大臣。3年間ほどの金利支払い、元金返済を猶予したらいいという持論だが、あまりにも愚策ではなかろうか。もし亀井大臣が徳政令にこだわり続けるのなら、鳩山首相は彼を更迭すべきかもしれない。
鳩山首相は亀井大臣を更迭すべき?
危険なのは、市場主義というかマーケットメカニズムへの反発がやや行き過ぎているように見えることである。自分たちの利益ばかりを追求する金融機関の経営者というイメージが世界の政治家の頭の中にしっかりと植え付けられているように思えるが、実際に途方もない報酬を受け取っているのは米国と一部の欧州の国だけ。それに金融機関の経営者だけではなく製造業の会社などでも経営者に対して巨額の報酬を支払っている。それでもその巨額報酬が「正しい」かどうかを監督当局が決めるのはおかしな話なのである。さすがの亀井大臣も銀行経営者への報酬を制限するという世界の潮流については「各国で国情も違うし、国際的に頭取の給料をいくらというわけにはいかない」として否定的な見解を示した。
とかく歴史的にも「金貸し」というのは蔑(さげす)まれたり、そねまれたりすることが少なくない。しかし小口資金を集め(預金)、それを事業に融資するという形が経済の発展を促進してきたことは紛れもない事実。もちろん行き過ぎたリスクテイクといった問題があるのは事実だが、だから金融全般が問題だというのは問題のすり替えでもある。「徳政令」に対して拍手を送る一般市民の声はいまのところ小さいのが救いだが、もし亀井大臣があくまで徳政令にこだわり続けるのなら、傷が深くなる前に鳩山首相は亀井大臣を更迭すべきかもしれない。
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