コラム
まるで“HVとEVの見本市”――フランクフルト国際モーターショーを見てきた(前編):松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
世界3大モーターショーの1つ、「フランクフルト国際モーターショー」が開催された。クルマ産業が苦境に立たされている中、どのようなクルマが注目されているのだろうか。時事日想では2回に渡り、ドイツのクルマ事情を絡めながら、モーターショーの様子を紹介する。
トヨタ:ハイブリッドの実績
IAA 2009に出展した日本車メーカーの中でひと際存在感を示したのがトヨタだった。出展スペースのおよそ3分の1を使ったレクサスは、「高級車といえばメルセデス・ベンツとBMW」のイメージが強いドイツ市場でも健闘している。IAAの年表によれば日本車が初出展されたのは1965年のこと。以来、「安くて丈夫な大衆車」だった日本車のイメージを覆し、欧州の高級車市場で本格的に成功したのはレクサスが初めてである。
レクサスと並んで大きな展示スペースを割いたのがプリウス。特に家庭用コンセントから充電できるプラグイン・ハイブリッドタイプの展示に力が入っていた。一晩の充電でどれだけ走れるかを、通勤やショッピングといった日常的なコースをモデルにして説明した映像が分かりやすかった。新しいクルマは作っても、果たしてそれが実社会でどのように使われるのか、クルマ社会のあり方まで提案できる自動車メーカーは少ない。長年にわたるハイブリッド車の実績を持つトヨタならではだろう。
次号ではメルセデス・ベンツ、BMWなどのエコカーについてレポートしたい。
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