ドイツ流ごみの捨て方……そのメリットとデメリット:松田雅央の時事日想(2/2 ページ)
日本とドイツで、粗大ごみの出し方に違いはあるのだろうか。筆者が住んでいる街では粗大ごみの日になると、使えそうなものを目当てに人が集まり、その一帯はさながら「無料のガラクタ市」となるそうだ。今回の時事日想は、日本とは異なるドイツ流粗大ごみの出し方を紹介する。
粗大ごみのルール
粗大ごみ収集日にはいくつかのルールがあり、タイヤなど「引き取りが有料のごみ」は出せない。また塗料、薬品、毒性や爆発性のある危険物も不可で、これらは公営のごみ収集所へ持って行かなければならない。
しかしながらルールを守らない市民は必ず存在する。ルールを知らない場合もあるだろうし、知っていながら破る場合もあるが、いずれにしろルール違反のごみは収集されずその場に残される。 清掃局はごみを出した市民が気付き、持ち帰ることを期待しているわけだが、そうなるかどうかは誰にも分からない。もし数日経ってもなくならなければ、最終的にはやはり清掃局が収集することになる。
清掃局としては徹底的に犯人を捜査することも可能だが、現実問題として犯人を見つけるのは容易でなく費用がかかり過ぎる。また、罰則を基本とする対策は市民の反発を生みやすいため、筆者の住む街では「ごみ啓蒙活動によるソフトな対策」が基本だ。
この粗大ごみ収集システムの問題は、市民に粗大ごみ減量のモチベーションが生まれないこと。ごみをいくら出しても無料だから、当然、粗大ごみを少なくするような生活習慣は生まれ難い。また、粗大ごみ収集後は小さなごみが散乱した状態となるため、清掃局の別働隊が後から掃き掃除しなければならない。さらに、粗大ごみ収集日前の通りは前述のように雰囲気が悪くなるなど必ずしも最善のシステムとは言い難いが、見方を変えれば処分されるはずだったごみがリサイクルされるのだから間違いなく資源の有効利用にはなっている。また、多少なりとも低所得者の生活を助けるメリットもありそうだ。
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