神戸市、神鋼環境ソリューション、大阪ガスは10月19日、神戸市東灘下水処理場で発生するバイオガスを都市ガスとして活用するための実証事業を共同で実施すると発表した。
3企業・団体によると、下水汚泥由来のバイオガスを都市ガス仕様に精製して都市ガス導管に直接供給する試みは日本初。同事業を通じて運営方法や経済性を検証し、同様事業の普及促進やバイオマス資源の有効活用につなげていくとしている。2009年度中に必要な設備を整備し、2010年度から事業を開始する予定だ。
バイオガスは、下水汚泥や食品残さなどの有機物が発酵する際に発生する、メタンを主成分とした可燃性のガス。再生可能エネルギー源として有効利用が期待されているが、下水汚泥由来のバイオガスはカロリーが低く、不純物を含むため、下水処理場内の熱源や発電などに用途が限られていたという。
このため神戸市、神鋼環境ソリューション、大阪ガスは、2004年度からバイオガスの用途拡大を目指して利活用検討会を行うとともに、神戸市と神鋼環境ソリューションは東灘下水処理場に精製設備を設置して、バイオガスを天然ガス自動車の燃料に利用する実証試験を開始。2008年4月からは、市バスや民間運送トラックなどに「こうべバイオガス」の名称で販売する事業を実施している。
今回の3企業・団体の実証事業は、既存の精製設備に加えて、熱量調整設備や微量成分除去設備を設置し、大阪ガスが供給している都市ガスと同等レベルにまで高度精製し、ガス導管経由で大阪ガスの需要家に供給するというもの。これにより、都市ガスの製造所との距離に制約を受けることなく、下水処理場などで発生するバイオガスを有効利用できるようになるという。
なお同事業は、経済産業大臣から交付を受けた都市ガス振興センターの「バイオマス等未活用エネルギー実証試験補助金(バイオガス都市ガス導管注入実証事業)」を利用している。
関連記事
- ドイツ流ごみの捨て方……そのメリットとデメリット
日本とドイツで、粗大ごみの出し方に違いはあるのだろうか。筆者が住んでいる街では粗大ごみの日になると、使えそうなものを目当てに人が集まり、その一帯はさながら「無料のガラクタ市」となるそうだ。今回の時事日想は、日本とは異なるドイツ流粗大ごみの出し方を紹介する。 - 学校ビオトープと学校の庭……この違い分かりますか?
「学校ビオトープの環境教育」と「学校の庭の環境教育」の違いをご存じだろうか? 環境教育に関心がある人あればイメージできるだろうが、「よく分からない」「初めて聞いた」という人も多いのでは。今回の時事日想は、本家本元ドイツの環境教育を紹介する。 - ドイツは本気である。そう感じさせた再生可能エネルギーのシナリオ
ドイツの環境分野における最重要テーマといえば、CO2の排出削減だ。環境省は「2030年までに総電力に占める再生可能エネルギー電力の割合を50%に」という目標を掲げており、中でも海上の風力発電に期待を寄せている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.