利息返還請求で4.4兆円の負担……「お金を返せ!」の影響がズシリ
消費者金融などに払いすぎた利息を取り戻す「利息返還請求」は、業者にどのくらいの影響を与えているのだろうか。日本貸金業協会の調査によると、過去3カ年で4.4兆円にも達した。
消費者金融などに払いすぎた利息を取り戻す「利息返還請求」は、業者にどのくらいの影響を与えているのだろうか。日本貸金業協会に加盟している1230社に聞いたところ、利息返還金と利息返還請求に伴う元本毀損分を合わせた金額は、2006年度が5535億円、2007年度が8505億円、2008年度が1兆123億円と増加傾向にあることが分かった。さらに引当金1兆9454億円を加えると、利息返還請求の影響(過去3カ年)は4兆3617億円に達した。
2006年の最高裁判決で、出資法の上限金利(29.2%)と利息制限法の上限金利(15〜20%)の間のグレーゾーン金利が無効と認定。この判決を受け、払いすぎた利息の返還を求める訴訟が全国で急増している。
請求元は「弁護士」と「司法書士」で9割
どのような人たちが利息返還請求を行っているのだろうか。最も多かったのは借金の返済が滞っている「延滞先」で46%、次いで「正常返済先」が29%。また既に取引が終了している「完済・残高なしの先」は24%で、昨年度調査の22%を上回った。今後の見通しを聞いたところ、「延滞先」(49%)や「正常完済先」(55%)からの請求増加よりも、「完済・残高なしの先」(68%)からの請求増加が目立った。
また請求元を聞いたところ、「弁護士」(57%)と「司法書士」(35%)を合わせると、9割を超えた。一方「本人」からの請求は7%にとどまった。今後の見通しについては「司法書士」(61%)からの請求が増加するという回答が多かったものの、現状ではほとんど請求実績がない「地方公共団体」(23%)の回答も目立った。
郵送またはメールによる調査で、貸金業を営む1230社が回答した。調査期間は7月3日から8月10日まで。
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