欧州パッケージツアーの仕掛け人――クオニイ・ジャパン 松日樂優紀さん(後編):あなたの隣のプロフェッショナル(2/5 ページ)
海外パッケージツアーを手配するクオニイ・ジャパンの松日樂優紀さん。前編では仕事の内幕を紹介したが、後編では彼女がその仕事に就くに至った経緯などについて尋ねていく。
上智大学外国語学部からロンドンのツーリズム専門学校へ
では、志望大学も語学を生かす方向で?
「はい。『国際的といえば上智』『外国語といえば上智』という圧倒的な憧れが自分の中にあって、それで自然と上智大学が第1志望の大学になりました。中学時代の旅行以来好きだったカナダの公用語が英語のほかにフランス語だということ、また国際機関に関心があったことから外国語学部フランス語学科を目指しました。
念願かなって合格することができ、はりきって入学しましたが、初めて挑戦する新しい言語の習得にはやはり大変な努力を要しました。1年生のころは毎週月曜にテストがあるおかげで週末に遊ぶ余裕なんてほとんどないくらいでした。でも、先生方の厳しくも温かい指導のおかげで、日に日に確実に力をつけていけたと感謝しています。
フランス語上達と旅行の目的を兼ねて、休暇も有効に利用しました。1年生の夏休みにカナダのモントリオールでホームステイ、翌年の春休みにはパリに1カ月滞在しました」
大好きなジャズダンスはどうしたのだろうか?
「実は1年生のころは余裕がなく、一度は断念したんです。でも、やはり物足りなさを感じ、2年生になってからサークルに入り、ダンスを再開しました」
フランス語学習がメイン、ダンスがサブという大学生活を送っていた松日樂さんだが、3年生になって予想外とも言える行動に出る。
「私は確かにフランス語学科に入学しましたが、それでも不思議と『留学先は必ずしもフランスでなくてもよいのでは』と心のどこかで思っていました。そして、自分は将来的にはどこか1つの国に定住するというよりは、できる限りいろんな国や地域に行き、多くの異なるものを見たいのだと気がつきました。昔から世界地図を眺めるのが大好きでしたし……。それで、そういう自分の嗜好(しこう)に合う勉強がしたいと思って、いろいろ考えたんです。
正直なところ、初めは国際関係論を学びたかったのですが、いざ始めてみようと思ったら、その時はあまりピンと来なくて、同じように世界のことを広く学ぶことができ、また、より興味と実感を持つことができた『ツーリズム』を学ぼうと思い至りました」
21世紀に入ったころから、世界のツーリズムには新しい風が吹き始めていた。都市と農村の交流のため、農場で休暇を過ごす“アグリツーリズム”などに代表されるような体験型観光として、ツーリズムをとらえ直そうという動きが盛んになっていたのだ。そういう時代の潮流を考えると、松日樂さんの着眼点は鋭かったとも言えるだろう。
「大学3年生の時、1年間の予定でロンドンのツーリズム専門学校に留学したんです。滞在は基本的にホームステイで、特に後半の半年間は高校時代にホームステイさせてもらったファミリーにお世話になりました。
滞在中に私の家族が日本から遊びに来た時には、家に招いて自慢の手料理を振る舞ってくれて、今では家族ぐるみで仲良くしています。異国の地で心から信頼できる人たちに出会えたことは幸運ですね」
ロンドンでは具体的にどんなことを勉強して、どんな成果があったのだろうか?
「英国の旅行業界の専門知識を学びました。その結果、欧州だけでなく世界のさまざまな方面の地理や文化に詳しくなり、ビジネス英語も上達したと思います」
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