やはり選挙に有利なのか? テレビに出演する政治家たちは(4/4 ページ)
テレビ番組によく出演している政治家がいるが、テレビに出ているとやはり選挙に有利なのだろうか。それとも地元の人との会話を重視した方がいいのだろうか。自民党の幹事長を務めた、加藤紘一氏がメディアと政治家の関係について語った。
テレビの番組は誰が作っているのか
ではテレビの番組を作っているのは、どんな人たちなのだろうか。そのように聞かれてても、多くの人は「テレビ局の人」と答えるだろう。しかし実際は、テレビ局の正社員は少なく、ほとんどがプロダクションの人たち。いわば下請けの人が、番組を作っているのだ。その人たちは視聴率という数字で競争させられるので、視聴率が良い番組を作らないと、テレビ局に切られてしまう。すると最終的には、多くの人が関心を持っているテーマで番組を作る。しかし多くの人が関心を持っているというテーマは、どのように判断するのだろうか。プロダクションの人が新聞を読んで、番組のコンテンツを考えているのだ。
グルリ、グルリと回って、最終的に新聞がテレビの根っこの部分を作っているのかもしれない。「活字メディアの影響力は小さくなった」という人がいるが、私は違うと思う。活字メディアは経営が難しくなっただけで、影響力はまだ強い。テレビも、活字メディアという枠の中で番組を作っているのだ。そして活字メディアは、政治が大きな動きをしていなければ、政治の一部分を批判したり、ほめたりしているだけ。新聞を面白くするには、国民からの強い要求が出てきたとき、新聞はそれに対し記事を供給しなければならない。
プロフィール:加藤紘一(かとう・こういち)
衆議院議員/聖学院大学総合研究所客員教授
1939年、山形県出身。1964年、東京大学卒業と同時に外務省入省。在台北大使館、在ワシントン大使館勤務、香港総領事館副領事、アジア局中国課次席事務官を勤めた後、1972年衆議院議員初当選以来、当選13回を果たす。内閣官房副長官、防衛庁長官、内閣官房長官(宮澤内閣)や、自民党政務調査会長、同幹事長など、政府と党の要職を歴任。2008年、聖学院大学総合研究所客員教授に就任。著書に『強いリベラル』『テロルの真犯人』『劇場政治の誤算』など。共著に加藤紘一・姜尚中『創造するリベラル』など。
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