フランクフルト空港はどんな「エコ空港」を目指しているのか(後編):松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
世界に誇る「エコ空港」を目指しているドイツのフランクフルト空港。空港を管理運営するフラポートはどのような空港を計画しているのだろうか。同社の環境課長Dr.ペーター・マルクス氏に話を聞いた。
まず考慮しなければならないのは、それぞれの国や地域の法令にどの程度適合しているかです。発展途上国は別として、先進国の基準はおおむね厳しく設定されていますから、適合の度合いが比較の基準となります。
例えば1988年から2004年にかけての、航空機の離発着数と騒音の推移を示す折れ線グラフを見ると、離発着数は一貫して増え航空機の大型化も進んでいるのに、騒音は小さくなっています。CO2の排出量、エネルギー消費量、ゴミの量など指標はさまざまありますが、離発着数と指標の相対関係から環境対策がどれほど進んでいるかを推測することが可能です。
――フラポートは海外にも業務範囲を広げているそうですね。
マルクス 世界各国 60カ所の空港と業務提携し、環境分野では特に発展途上国に対するアドバイス業務を行っています。環境対策は直接的な儲けをもたらしませんから、残念ながら発展途上国の多くの空港が無関心です。しかし環境対策により空港労働者の健康被害が減るなど目に見える効果が期待されるのも事実。空港関係者の意識改革から始まり、技術的な援助まで手がけています。
日本の空港との業務提携はありませんが、環境分野において成田空港と積極的な情報交換を行っています。
――本日はお忙しいところ時間を取っていただき、本当にありがとうございました。
フランクフルト空港データ
開業:1936年
総面積:1940ヘクタール
ターミナル数:2(第3ターミナル計画中)
離発着数:48万6000回/年
総就労者数:7万1000人
収入(2008年):21億ユーロ
関連会社数:500社
空港運営会社:Fraport AG(フラポート株式会社)
従業員数:1万9000人
乗降客数(2008年):5350万人(前年比−1.3%)
貨物取扱量(2008年):2095万トン(前年比−2.5%)
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