「会社を辞めろ」と言われても……泣き寝入りせずに抵抗する方法:吉田典史の時事日想(4/4 ページ)
上司から「会社を辞めてくれ」と言われたら、あなたならどうするだろうか? 「仕方がないので会社を辞める」人も多いだろうが、「泣き寝入りをしたくない」という人もいるのでは。そこでリストラに関する取材を続けてきた筆者が、会社に抵抗する方法を紹介する。
「〇〇さんはユニオンに入っているので、我々労政事務所との調停で決着をつけないと、事態は深刻になりますよ。ユニオンとの全面対決は、避けた方がいい」
つまり、労政事務所とユニオンをいわば合体させることで、会社に対しての強い圧力にするのである。ベテランの相談員ならば、この意味するものを理解し、会社に上手く交渉してくれるはずだ。仮に調停がうまくいかない場合は、ユニオンから団体交渉を申し入れることも考えられるうるだろう。とはいえ、東京都の労働相談情報センターの解決率は7〜8割なので、ある程度は信用していい。
ましてや、背後にユニオンが控えていれば、会社も軽い扱いはしないだろう。何とか、労政事務所の段階で決着を図ろうとするに違いない。条件退職の道を選ぶならば、ユニオンの存在をちらつかせることで、和解金が増えるかもしれない。会社は、ユニオンをそのくらい警戒している。
ただし、前述の1と2のどちらを選んでも、私が取材している限り、その後の人生は必ずしもスムーズではない。しかし、その人たちは自分の意思を会社に示して生きている。そのこと自体、素晴らしいことであり、称賛されていいことだ。
自分の意思は、会社に伝える。泣き寝入りはしない。その姿勢こそ、いまの時代に大切なものなのではないだろうか。
女性ユニオン名古屋の執行委員長の坂喜代子さんから、厳しいひと言をいただいた。
「テレビや新聞が、『大企業が業績悪化によりリストラしなければならなくなった』などとあおったことも、リストラを加速させたと言えるのではないでしょうか」
さらに、こうも付け加えた。
「ほとんどの労働者は、闘うすべを知りません。ユニオンにたどり着く人は、ほんの一握りです。企業は、おとなしく辞めない社員に対して、見せしめのような締め付けを強行します。企業に対してどんなときにも、毅然とした態度で臨むことが必要です。“簡単に手出しができないぞ”というオーラを放ちつつ、働くことですね」
関連記事
- 冬のボーナスが下がる? いや……来年も再来年も上がらない
ある研究所の調査によると、冬のボーナスの支給額は過去最大の下げ幅だという。「業績が低迷しているから、仕方がない。来年はきちんともらえるだろう」といった考えは改めた方がいいかもしれない。その理由は……? - ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?
昔に比べ「管理職の力が強くなってきた」と感じたことはないだろうか。部下の採用、配置転換、リストラなど……いろいろなところで強権を振るい始めている。しかしこうした動きに対し、「危険な兆候」と懸念する声も出始めている。それは……? - 会社を辞めたい……そう感じる人が多い業種
会社の社員であることに「誇りを感じている」人はどの業種が多いのだろうか。ネットマイルの調べによると、「電力・ガス・水道」や「専門コンサルタント系」で働く人が目立った。一方で「誇りを感じられない」と感じる人が多い業種は……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.