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コラム

高騰を続ける原油の先物相場と、ロシア政治の関係藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

リーマンショック後、経済成長が“失速気味”のロシアだが、メドベージェフ大統領は「資源依存の経済が続いている」とし、民主的な近代化が必要だと訴えている。しかしロシア政治の内情を見てみると、不安な点も。それは……?

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 スルコフは、さらに改革派のエコノミストと手を組んで、セチン派の追い落としを図っているようだ。メドベージェフ現大統領もスルコフの支持によって大統領になることができた。FSBでも GRUでもないメドベージェフは、スルコフが力を見せつけるために大統領に担ぎ出されたともいう。

 そして金融危機。スルコフ派はこの危機でロシア経済の立ち後れが白日の下にさらされたのを、セチン派の失敗として批判している。

ロシア政治の動向に目が離せない

 こうした流れでメドベージェフ大統領の年次教書を読むと、改革派エコノミストがセチン派に全面戦争を仕掛けているようにも見える。これまで2つの派閥にまたがることでロシアの実権を握っていたプーチン首相が、この派閥戦争をどうさばこうとするのか。

 もし改革派が敗れるようなことがあれば、ロシア経済だけでなく世界経済にとっても大きな問題となるだろう。なぜならセチン派が目指すところは、当面という意味ではエネルギー価格の引き上げであるからだ。すでに石油の先物相場は100ドルに近づいている。ここにロシア政府内部の混乱という要素が加われば、再び原油暴騰という可能性も出てくるだろう。当面、メドベージェフ大統領とプーチン首相、それにセチン副首相の動向から目を離すことはできなさそうだ。

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