家電のネーミング進化論:ちきりんの“社会派”で行こう!(1/2 ページ)
家電のネーミングは種類によって、親しみやすい日本語だったり、かっこいい横文字だったりと傾向が変化します。それぞれのネーミングにどんな意図があるのか、考えてみました。
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?
はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年6月13日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
家電のネーミングって種類によって違いますよね。例えばエアコンは、
東芝:大清快
日立:白くまくん
三菱電機:霧ヶ峰
ダイキン:うるるとさらら
三菱重工:ビーバーくん(ビーバーエアコン)
と、日本語が多いし、親しみやすい名前が多いです。ただ最近は、パナソニック「nanoe(ナノイー)」や富士通ゼネラル「nocria(ノクリア)」のように「エアコンなのに横文字名」も現れており、これは新しいトレンドです。
これが液晶テレビだと、
シャープ:AQUOS(アクオス)
パナソニック:VIERA(ビエラ)
東芝:REGZA(レグザ)
ソニー:BRAVIA(ブラビア)
日立:Wooo(ウー)
と、すべて横文字で、かっこいい系です。ちなみにPCも「Lavie」「VAIO」「FMV」「dynabook」「Let'snote」と横文字ばかりです。
ところが、冷蔵庫や洗濯機になると名前がないんです。大半が、
パナソニック:パーソナル冷蔵庫 シルバー
シャープ:どっちもドア冷蔵庫 シルバー
東芝:ノンフロン6ドア冷凍冷蔵庫 ステンレスシルバー
など、機能をそのまま表示したような名前が多い。
ただ、高機能化に伴って、“プラズマクラスター”(シャープ)、“鮮度名人”“収納名人”(東芝)など、機能の説明のような言葉をブランド的に使って宣伝する例も出てきています。
洗濯機の場合は“洗浄方法のネーミング”が大事なようで、
パナソニック:エコウオッシュシステム
日立:シャワービート洗浄
東芝:ZABOON(←これは機能なのかブランドなのか……)
「洗い方という機能を、いかにかっこいい用語で売り込むか」がポイントのようです。
また、安い家電にはブランド名がないのが普通で、例えば電子レンジやオーブンは今までは名前がなかったのですが、シャープは「ヘルシオ」というブランドで高機能オーブンレンジを売り出しました。いよいよオーブンレンジにも「ブランド名」の付く高機能時代がやってきた、ということでしょう。
家電ではないですが、クルマのネーミングでは英語だけでなく、フランス語やイタリア語などが使われるケースもありますよね。
ちなみに、言語には“かっこよさ”のヒエラルキーがあって、日本の歌謡曲のさびの部分にはよく英語が使われますが、米国のポップスのサビの部分にはフランス語が出てきます。また台湾や韓国の歌謡曲には日本語が出てくることもあるのです。
クルマは家電より相当値段が高いですから、このヒエラルキーを利用してより高級に見せるために、英語以外の西洋言語が使われるのではないかと思います。
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