コラム
鳩山政権はこの試練を乗り越えることができるのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
日本にデフレという“妖怪”が、再び現れた。さらに円高により、「デフレが加速するかもしれない」といった懸念が高まっているが、鳩山政権はそれほど警戒心が強くないのではないだろうか。
日本の病根は根深い
一方、日本のデフレはかなり深刻だ。円高もそうだが、デフレの「踊り場」となっていた時期は、円安バブルによる輸出の増加で自動車産業などが好景気にわいた。それがデフレを一時緩和していたのだが、今回は、輸出による援護射撃は期待できそうにない。円高もそうだが、輸出市場である欧米の景気がそう簡単に回復しそうにない。それに短期的な問題ではないが、少子化、人口減という構造的な問題もある。
自民党政権だったらこの危機を乗り切るだけの経験も能力もあったなどと言うつもりはない。もともとデフレを発生させたのは自民党政権だったし、この輸出バブルの時期に適切な手を打てなかったのも自民党政権だ。
しかし民主党政権になってもこの対処能力の欠如という事態は変わらないだろうと思う。11月29日、首相官邸に菅副総理や藤井財務相、平野官房長官らが集まって、この問題を協議したようだが、市場に対して強いメッセージを発することもできなかった。経済の病根も根深いが政治の無能という日本の病根はもっと根深いのかもしれない。
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