朝日新聞の世論調査を批判したら、本社に呼ばれて怒られた(8):上杉隆×窪田順生「ここまでしゃべっていいですか」(3/3 ページ)
大手新聞社やテレビ局が行っている世論調査に対し、どのようなイメージを抱いているだろうか。ノンフィクションライターの窪田氏は「メディアの世論調査は、調査ではなくイカサマだ」と指摘する。その理由は……?
読売新聞は紙面の中で反論すべき
窪田 最近ではメディアがメディアを訴えるケースがあったりして、これは理解できませんよね。
土肥 押し紙※をめぐって、読売新聞が新潮社を訴えましたよね。
窪田 読売新聞には訴える前に「書きなさいよ」といいたいですね。彼らは1000万部の部数を誇っているんだから、書けばいいんですよ。
上杉 メディアとメディアの丁々発止があって、それを読むことによって読者のリテラシーが上がるんですよ。
窪田 押し紙問題について、某大手メーカーが読売新聞を訴えるかもしれない、という情報が流れていた。なのでその大手メーカーをけん制する意味で、読売新聞は新潮社を訴えたのかもしれない。仮にそうだとしても、やはり読売新聞は紙面の中で反論すべきだったと思います。
上杉 メディアは社会の問題に目を向けて報じる義務があるわけだから、自分たちの問題もきちんと報道すべきですよね。自分の身にふりかかる問題に関して、まるでなかったような扱いにしていれば、やがて読者からの信頼も失われていくでしょうね。
海外メディアの場合、自分たちのスキャンダルでも平気で書く。日本人の感覚からすると、それは自爆行為かもしれないが、でもその方がジャーナリズムとして健全な姿勢だと思いますよ。
窪田 日本的な……「まあまあまあ」で解決してしまうんでしょうね。それでも文句を言う奴に対しては「お前は世間のことが、分かってねえなあ」といった感じで、批判されてしまう(笑)。
例えば『噂の眞相』の内容に対して、さまざまな意見がありました。「絶対に認めない」といった声もありましたが、それでも『噂の眞相』のような雑誌があることで、一定の潤滑油になったのではないでしょうか。政治家や企業のエライさんが不倫してどうのこうのとか、どこそこの企業は労働組合と給料のことでもめているとか、メディアのことを批判したりとか。ただそうした記事があることで、メディア自身が我が身を振り返ることができたのではないでしょうか。
上杉隆(うえすぎ・たかし)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。富士屋ホテル勤務、NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年にフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。
『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『小泉の勝利 メディアの敗北』(草思社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など著書多数。
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