コラム
なぜ会社は辞表を書かせようとするのか――解雇との違い:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
多くの会社は社員を「解雇」するのではなく、辞表を書かせたがるということをご存じだろうか。たとえリストラといった形でも、社員は辞表を書き、自己都合で辞めるケースが多い。こうした背景には「助成金」と「退職金」に関係があるようだ。
なぜ、このような言葉を浴びせるのか。社内の問題を外に持ち出した社員を“危険分子”として扱うことで、精神的になえさせることにある。そして他の社員への見せしめである。
日本労働弁護団に籍をおく弁護士は「第2、第3の危険分子(第三者機関に訴えた社員)を生まないために、その社員を徹底的になじる」のだという。
前述の杉山氏は、読者にこんなアドバイスをしてくれた。
「ハローワークに提出する離職票の離職理由は、確認したほうがいい。そこを会社都合であるにも関わらず、“自己都合”と記入している会社も一部にある。会社員がはまりやすい罠でいちばん多いのは、“あなたは会社にこんな損害を与えた。だから、辞めてもらう”と懲戒解雇をちらつかせるパターン」
かつて私が取材した会社のケースでいえば、懲戒解雇をするかのように社員を脅していた。そして「辞表を書けば、解雇は避けることができる」となだめて辞表を書かせようとする。執拗に、辞表にこだわり抜くのだ。
ここまでくると、ペテンと言えなくもない。あなたの会社は、まともだろうか。
関連記事
- 年収500万円で終わらないためには、どうすればいいのか
「給料は上がらない、ボーナスも下がった」といったビジネスパーソンも多いのではないだろうか。こうした状況に対し「不況だから仕方がない」と考えていては、取り返しのつかないことになるかもしれない。それは……? - 「会社を辞めろ」と言われても……泣き寝入りせずに抵抗する方法
上司から「会社を辞めてくれ」と言われたら、あなたならどうするだろうか? 「仕方がないので会社を辞める」人も多いだろうが、「泣き寝入りをしたくない」という人もいるのでは。そこでリストラに関する取材を続けてきた筆者が、会社に抵抗する方法を紹介する。 - ひょっとして……“バブル組”に苦しめられていませんか?
昔に比べ「管理職の力が強くなってきた」と感じたことはないだろうか。部下の採用、配置転換、リストラなど……いろいろなところで強権を振るい始めている。しかしこうした動きに対し、「危険な兆候」と懸念する声も出始めている。それは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.