コラム
ドラマ『坂の上の雲』にあって、『不毛地帯』にないもの(2/2 ページ)
フジテレビ開局50周年ドラマとして放映されている『不毛地帯』。豪華キャスターが話題になっているが、視聴率は10%前後で推移している。一方、NHKのスペシャルドラマ『坂の上の雲』は20%前後。この視聴率の差から、何を読み取ることができるのだろうか。
このナレーションに単純に、心が震える。経済的には、辛い時代である。でも、坂の上に何かあるかもしれないと思えたら、明日の朝も、仕事に行こうかなという気になる。
日本国民の「政治」への関心は、「希望」の表れである。「軍師」への期待である。『坂の上の雲』が『不毛地帯』より受け入れられる理由は、人間は、「何かが始まることに心が揺さぶられる」非合理な欲求を抱えて生きているからである。時代は、それがあってこそ進化してきたことを、日本国民は、身を持って知っているからである。
現在、みんなが納得する都合の良い「一朶の白い雲」なんてないことは分かっている。しかし、『坂の上の雲』が、良書として親しまれ、ドラマとなっても20%の視聴率を稼ぐということは、日本国民には、まだ「坂をのぼる非合理を選択する勇気」は潜在しているということだと信じたい。
一朶の白い雲が輝いているとすればそれのみを見つめて 坂をのぼっていくであろう人達をあざ笑うことなく、足を引っ張ることもない人達が、この国には、少なくとも20%いると信じてみたい。(中村修治)
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