引きこもりに男性が多い理由:ちきりんの“社会派”で行こう!(1/3 ページ)
東京都の2008年調査によると、“引きこもり”の71.4%が男性ということでした。なぜ男性は引きこもるのか? なぜ女性は引きこもらないのか? その理由と対策を考えてみました。
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?
はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年11月6日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
東京都の2008年調査によると、“引きこもり”の71.4%が男性なんだそうです。なぜ男性は引きこもるのか? なぜ女性は引きこもらないのか?
「男子は生まれつき“引きこもり遺伝子”を持っているのだ」という方向にいくと議論にならないので、ここでは環境要因を考えてみましょう。
「外の世界」は男性に厳しい
引きこもる人にとっては、「引きこもらない日常生活」は苦しくつらいものであり、それよりは「引きこもる生活」の方がまだマシ(よりポジティブ)なのでしょう。
まず、男性にとってはこの「引きこもらない日常生活」が、女性よりも圧倒的に困難なのだと想像されます。なぜなら社会生活から受けるプレッシャーは、男女同権とされる今でも男性の方がかなり大きいからです。
「フリーターのままだと結婚できない」と思う女性は少ないですが、男性はほぼ全員がそう感じる(思わされる)でしょう。この「男は稼いで当たり前」という社会通念だけでも、男性に大きなプレッシャーをかけていると思います。
仕事だけではなく個人生活においても、社会は常に男性にリーダーシップを期待します。「プロポーズはやっぱり男性がすべき」であり、「いざという時には男性が主導権を取るべき」「何かの時には、女子どもを先に保護すべき」といった感じです。
人前でうまくしゃべれない女性は「奥ゆかしい」「おとなしい」と言われますが、男だと「頼りない」「しっかりしていない」です。
つまり、「外の世界」はまだまだ圧倒的に男性に厳しい。引きこもりたくなる男性が女性より多いのは当然と思えます。
また、女性は「家事手伝いをする」ことで擬似的に「引きこもりつつ、引きこもりと呼ばれない」という逃げ道を持っていますが、男性の場合、“主夫”ならともかく、未婚で親の家に住んでいて「家事手伝いです」はちょっと厳しいですよね。「外で戦わないなら、引きこもるしか道がない」のが男性のつらいところです。
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