東京と沖縄に蠢く、“新ヤミ金融”に迫る(2/2 ページ)
かつて社会問題にもなったヤミ金融。しかし最近では鳴りを潜め、代わって「優しいヤミ金」と呼ばれる悪徳業者が増えてきているという。その実態は明らかにされていないが、ノンフィクションライターの窪田順生氏が悪徳業者の実情に迫った。
沖縄に群がるヤミ金
ここ数年、沖縄県で新手のヤミ金が増えてきているという。厳しい経済環境にさらされている沖縄県に狙いを定め、2つのタイプのヤミ金が増殖しているそうだ。窪田氏はその2つのタイプのヤミ金を紹介した。
沖縄県で増えてきているヤミ金融
(1)登録業者の従業員からの転身組
リスクを知っているので、短期間で荒稼ぎする(優しいヤミ金より高金利)
(2)本州からの進出組
多重債務者からヤミ金に転身し、沖縄県に送り込まれている
本州からの進出組というのは、一体どのような手口でヤミ金を行っているのだろうか。「ある多重債務者は暴力団に入り、ヤミ金を始めた。携帯電話と運転資金500万円を渡され、『どんな方法でもいいから、月に1000万円を回収しろ』と命令されたという。また逮捕された場合、絶対に『組織』に迷惑をかけず、単身で罪をかぶることが条件だったそうだ」
手荒な回収はせず、あくまで優しく取り立てたり、“客”の悩みを聞くなどして、信頼関係を築くなど、ヤミ金の手口はますます巧妙化している。「『こちらの水は甘いぞ』といった感じで、ビジネスとして参入する人たちが増えている。その典型が沖縄県。しかし沖縄県だけにとどまらず、今後は日本全国に波及する可能性があるのではないだろうか。また改正貸金業法によって、正規業者の多重債務者を減らしたことで、ヤミの多重債務者が増加している」と指摘した。
窪田順生(くぼた・まさき)
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後全国紙記者、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)が第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター』(講談社α文庫)がある。
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