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「大きな政府と小さな政府」――ニホンはどちらに進んでいくのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
今年の夏に行われる、参院選の争点の1つは「大きな政府と小さな政府」ということになるだろう。米国と英国という“大きな政府”を見ている限り、この問題は慎重に考えていかなければならない。
大きな政府になった米国と英国
世界的に大きな政府が問題になっていることについてエコノミスト誌の最新号が特集を組んでいる(関連リンク)。その論旨を以下に紹介する。
多くの先進国で財政支出が拡大しているのは直接的には金融危機があったからである。しかし実際には、政府の支出はそれ以前からどんどん膨らんでいた。これはとくに米国と英国に当てはまる。1990年代には両国とも「大きな政府の終焉」を宣言したが、例えばジョージ・ブッシュ米大統領はリンドン・ジョンソン大統領以後、もっとも政府支出を増やした大統領となった。英国ではGDP(国内総生産)に占める国家支出の割合は、2000年には37%だったものが、2008年には48%となり、現在は52%である。
また人口構成も財政支出をさらに押し上げる要因となる。老齢化すれば医療や年金に財政資金が必要となる。大なたでも振るわない限り、米国のこうした保障に関わる費用は、15年後にはGDPの20%(今は9%)に達するとされている。
さらにグローバリゼーションの進展によって雇用が落ちてくれば、そのセーフティネットも必要になる。競争を促進して効率化するはずのグローバリゼーションが逆に政府支出を押し上げる要因にもなる。
以上がエコノミスト誌の分析要旨だが、日本人としてこの問題をどう考えるのか。大きな政府のほうが幸せになれるのか、それとも小さな政府で自己責任にしたほうが幸せになれるのか、選択を迫られる日はそう遠くはない。
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