不思議の国ニッポンが、好かれる理由:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
ドイツ人は日本に対し、どのようなイメージを抱いているのだろうか。伝統文化を重んじる一方で、先端技術を誇るハイテクの国。また最近ではサブカルチャーの発信地としても注目を集めているようだ。
武道だけでなく華道、茶道、書道の人気も高い。よく街のカルチャースクールにコースが開設され、日本文化を知りたい人や、教養のひとつとして習い始める人が多い。どちらかといって男性より女性の方が興味を持つようだ。
日本は別格
日本がドイツにとって遠い国であることは確かだ。距離の隔たりだけでなく、言葉、文化、歴史、宗教でも共通項は限られる。両国に通じるのは第二次世界大戦で負けながら急速な経済成長を遂げ、共に先進国となった点であろう。(ただし、第二次世界大戦で同盟を組んだからという理由で日本に親近感を抱くという話は聞かない)
率直な書き方をすればアジア諸国を差別するドイツ人はまだまだ存在するのだが、そんな中でも日本は別格の扱いを受けている。その理由のひとつが「日本人の質」である。ドイツに住む日本人の多くはビジネスパーソン、学生、研究者など、まがりなりにも教養と社会常識を備えており、犯罪や深刻な社会問題を犯す割合は他国と比べて極めて低い。滞在許可を得る際やパスポートのチェックなど日本人だから簡単に済む場合が結構あり、海外在住者には理屈抜きでありがたい。
もし日本から政治難民や経済難民が流入するのであれば話は全く別だ。難民であろうとなかろうと人間の尊厳に違いはないのだが、現実問題として難民の多い国にリスペクトを持つのはなかなか難しい。この点、日独関係は幸運だと言える。
限られた情報を基に日本を好きになる「親日家」は、ちょっとしたきっかけで感情の針が逆に振れ「嫌日家」に変身することがある。これに対し日本のいい面も悪い面も知ったその上で日本を好きになる「知日家」の場合は、そういう気持ちのブレが少ない。ありがたいことに、知日家のドイツ人は着実に増えている。
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