“フリー”の中から生まれる、新たな出版革命とは:上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(6)(4/4 ページ)
ジャーナリスト・上杉隆氏をホストとする対談連載6回目。ネットメディアの“仕掛け人”ともいえるインフォバーンの小林弘人CEOが、米国のメディア事情について語った。
小林 僕は、ハンドルネームはテーマ別マインドセッティングの問題かと思うので、あまり実名主義だから素晴らしいとも思っていません。例えば、僕は顔・名前を出していますが、どこかのエロサイトでHグッズのレビュー投稿をするのにまで名前と顔を出す必要はないと思っています(笑)。そこがお前のダメなところだと言われそうですが、企業人として背負っているものも少なからずある(笑)。ただし「僕はメディアや社会について、こういうことを考えている」の「僕」は、背景を読解できるように、記名を使う。そこで他の人からのフィードバックがほしいのなら、それらは開示したほうがいいです。なにも自分の自己宣伝のために開示しているわけではなく、要はリテラシーの範囲かと。
また記名ではなくとも、ペンネームでもいいと思うので、その名前をずっと使い続けることが大切なのではないでしょうか。そうしないと、信頼性を担保することが難しい。例えば記事内容が間違ったときに、同一IDにより謝罪や訂正を行わないと意味がない。従って信用を形成するためには、匿名でもなんでもいいから同一の名前を使い続けること。まあ、そうなると、ほとんど本名みたいなものですが、メディア活動ということはそういうことでしょうね。
上杉隆(うえすぎ・たかし)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。富士屋ホテル勤務、NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年にフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。
『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『小泉の勝利 メディアの敗北』(草思社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など著書多数。
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