若手記者が疲れている……永田町に蔓延する“ウソ”の実態:相場英雄の時事日想(2/2 ページ)
「もうヘトヘトです」――。筆者の相場氏が某民放局の若手記者と食事したとき、彼の口からこんな愚痴が飛び出した。その理由を聞いてみると、取材先の永田町で「ウソ」がはびこっているため、彼は“右往左往”させられていたのだ。
ツケは重くのしかかる
翻って現状はどうか。冒頭の若手記者によれば、「平気でウソをつく輩が大臣クラスでもゴロゴロいる」という。
例えば、年末年始に再建策作りのピークを迎えた日本航空問題。官邸、関係省庁間で調整をめぐって綱引きが行われた際には、関係閣僚同士の折衝がキモとなった。当然、記者の関心も高い。ただ、「折衝の有無を尋ねても『ない』と断言し、数時間後には平気で会合に出席した大臣もいた」というのだ。
しかも、こうした事態は1回や2回ではなく、「ウソかどうかのウラを取るため、走り回らされた」(大手紙記者)との向きが少なくない。冒頭の若手記者がクタクタだと言ったのは、平気でウソを重ねる新政権の要人に振り回されたからに他ならない。
こうした現象はJAL問題だけでない。沖縄の米軍普天間基地問題をめぐっても、「首相自ら解決案があるというニュアンスで発言したが、外務省など関係省庁に全く話が降りてきていないケースすらあった」(先の民放記者)という具合だ。
記者はウラを取ってナンボだが、それはたくさんの読者や視聴者を抱え、プライドを持って取材しているからに他ならない。そうした事情を一切無視し、平気でウソを言い続ければ、現政権の先行きは暗い。
記者だって人間だ。ウソを繰り返され、そのたびごとにウラ取りを強いられれば、論調もきつくなる。ひいてはこれが紙面や番組に反映され、ジワリと国民の間にネガティブな意識を植え付けることになる。先の項の日銀幹部の弁を思い起してほしい。「記者の背後には国民がいる」のだ。首相以下、新政権の要人はキモに銘じていただきたい次第だ。
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