コラム
ジャパン発の“double dip”という懸念:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
リーマンショック以降、厳しい経済環境が続いている中、米国経済に“朗報”が流れた。昨年第4四半期のGDP成長率は年率で5.7%と、2003年以来の高い数字を残した。しかしこれで二番底懸念が消えたというわけにはいかないだろう。
日本初の「世界不況二番底」
以上の論点から、エコノミスト誌はこう結論づけた。「もしこの数字に喜んで財政や金融による景気刺激を止めるようなことになれば、成長の輝きはあっと言う間に消え去ってしまうかもしれない」
米国の本格回復がまだ先だということになれば、日本の場合はもっと慎重に見なければなるまい。第1にデフレ状況がある。デフレの中では個人消費は増えない(エコポイントなどによる家電製品の販売増加はあるが、エコポイントをもし止めたらそれこそ販売は急減するだろう)。明日安くなるものは今日慌てて買わなくてもいいからである。第2に、税収が9兆円も落ち込む中で、景気刺激を続ければ、国債発行に頼らざるをえないが、政府の借金が巨額すぎる。信頼できる財政の中期展望を描かなければ、長期金利が上昇する懸念が強まる。果たして日銀は国債の直接買い入れといった「非常手段」に踏み切る勇気があるだろうか。
そして日本がもし二番底に陥って、デフレからの脱却も遠のいてしまえば、米国や英国の足を引っ張ることにもなりかねない。日本初の「世界不況二番底」などという構図が懸念されるときに、経済に通じているとも思えない財務大臣がその職にあるということは、日本の不幸かもしれない。
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