コラム
毎月25ユーロをカロリーナに。“顔の見える”支援とは:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
途上国支援にはさまざまな方法があるが、筆者は“プラン”という団体を通して支援している。この団体の特徴は「顔が見える」ということ。支援している人の顔が見えるだけではなく、寄付金の使途を含めた透明性が保たれている。
決め細かなサポート
パラグアイ側の支援組織が送ってきたカロリーナの近況情報は以下の通り。
カロリーナの家族
- (以前伝えた状況と)変化なし。
学校
- 小学校に通学。
- 家から学校までは徒歩30分以内。
健康
- 家族からの報告によれば、健康状態は良好で特記する病気はない。
- 家から最寄の診療所までは約2時間。
プロジェクト
カロリーナの生活する地域では(プランによる)次のようなプロジェクトが行われている。
- 子どもと青少年組織の結成と支援。
- 教育関連の催し物のサポート。
- 水道の設置
- ボランティア組織の育成。
- 新生児の出生登録キャンペーン。
子どもを通して地域開発
プランの支援事業にはスポンサーシップ制度のほかに、健康と衛生、教育と訓練、生活環境の改善、収入の増加といったテーマがあり、個人や企業の寄付を用いて現地スタッフが各種事業に取り組んでいる。
活動の最も大きな特徴は「子どもと共に進める地域開発」にあり、地域が抱える問題の把握からプロジェクトの計画立案、実施、事後評価まで地域住民と子どもが関わる。こうすることで地域発展の担い手としての能力を身につけ自立していくことが期待できる。住民への意識喚起や助言、住民と地元自治体の橋渡しなどを行いながら、彼らの主体性を育むのがプランの手法だ。
ここ30年で途上国援助は「単純な金銭的援助」から「持続可能な発展の支援へ」と軸足を移してきた。支援の形にはいろいろあり団体によって得意・不得意はあるが、プランは「手間はかかっても顔の見えるきめ細かな支援」をモットーにしており、その部分に魅力を感じる人が多い。
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