民主党よ……労働組合の“顔色をうかがう”ことを止めよ:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
「民主党に日本の閉塞状況を打破してほしい」――昨年8月末の衆院選、こう願って1票を投じた人も多いはず。しかし半年が経ち、鳩山内閣の支持率はジリジリと下がってきているが、その要因のひとつに労働組合の存在があるのではないだろうか。
308議席のおごりを捨てよ
問題は今の日本に最も必要なことは、現状の打破だということだ。この閉塞状況は、元に戻ることで解決できない。それははっきりしていると思う。そもそも閉塞状況を生み出したのは、20年以上も前にボタンを掛け違ったからだ(バブル前の政策の過誤にバブル後の処理のまずさが加わった)。だから日本の経済の構造や政治の構造(もちろん官僚の在り方も含めて)、社会の構造を変えることでしか、打開することはできない。
自民党の谷垣総裁には申し訳ないが、健全なる保守への回帰などというのが何とも間が抜けて見えるのは、こうした現状への考察をまったく欠いているように思えるからだ。そして残念なことに、変革への期待がかかった民主党政権も、バックに労働組合という大保守組織があることを考えると、自民党以上に変革志向は弱い。子ども手当のようなものはやれても、労働組合を傷つけるような郵政民営化はもちろん、マニフェストで公言した公務員制度改革ですらできそうにない。
しかし考えてもみるがいい。連合といえどもわずか680万の組合員である。全国の有権者はだいたい1億人。もちろん投票率がどれぐらいになるかによって変わるが、たかだか680万で日本の政治を左右できるわけではない(公明党が一定以上になかなか伸びないのと同じことだ)。もしも連合が現状を打開するのに逆行した行動を取れば、早ければ参院選で手痛いしっぺ返しを食う(すなわち民主党が単独で過半数を制することができない)可能性も生まれてくる。
308議席のおごりを捨てて、民主党が日本を変革できるかどうか。公務員制度改革の行方を見れば、見当がつくはずだ。
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