コラム
鳩山政権に、“お金”が集まらない日:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
民主党への政権交代が起きたものの、いまだ経済政策の背後にどんな理念があるのか、よく分からないという人も多いのでは。「2010年度予算は過去最大」「4年間は消費税を引き上げない」など、このままでは投資家が“愛想”をつかすかもしれない。
投資家から“NO”を突きつけられるかもしれない
金融史の専門家である英国のナイアル・ファーガソンは、フィナンシャルタイムズ紙に「ギリシャ危機が米国にやってくる」と題するコラムを寄稿している。そのコラムの中で、ファーガソンは、このギリシャの財政問題は「アイスランド、アイルランド、英国から米国まで基本的に同じである」と書いている。財政赤字があってそれをファイナンスするために国債を発行するのだが、世界の投資家がもう辟易するのではないかという。
そうなると考えられるシナリオは2つ。1つは各国が財政赤字を小さくするために緊縮財政政策に入るということ。その結果、政府支出に支えられた現在の景気回復の腰が折られる。もう1つは、緊縮財政政策が不十分と判断されれば、金利を引き上げざるをえず、それが景気回復に大きな悪影響を与えるということだ。どちらにしてもいい話ではない。
日本の場合は、個人の金融資産が大きいところから、国債発行にノーという声が突きつけられるまでにはまだ時間があるとする人も多い。しかし鳩山政権がもし春ごろまでに財政見通しを示して、将来の財政再建を打ち出さなければ、投資家からノーを突きつけられてしまう可能性もないとはいえない。そうなってから態勢を立て直すのは大変だし、市場もそう簡単には納得しないだろう。それに第一、ドルが大暴落でもすれば、日本も決して安閑としてはいられないはずだ。
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