コラム
小さな街の、カーニバルにつまっている要素とは:松田雅央の時事日想(2/2 ページ)
カーニバルといえば「リオのカーニバル」を思い浮かべる人も多いだろう。カーニバルはカトリック文化圏を中心に行われるが、今回の時事日想はドイツで開かれた小さな祭りを紹介しよう。
カーニバルの王様の天国と地獄
ちなみに、中世のカーニバルには今の感覚からは想像できない驚きの習慣があったという。
まず、カーニバルに先立ち市民から「カーニバルの王様」を選ぶ。カーニバルの数日間、カーニバルの王様は何でも好きなことが許された。実際どこまでできたのかは分からないが「ぜいたくざんまいに食べる」、平民ならば「貴族のような生活をする」といったことだろうか。驚きはこの後で、カーニバルが終わるとカーニバルの王様は処刑される運命だったという。おそらくは一生に一度も経験できないような夢の数日を過ごし、その代償を命で支払ったわけだ。ずいぶん倒錯した風習ではあるが、いまでもカーニバルになるとバカ騒ぎをする人は多いから、あながち嘘ではないように思う。
カトリックの教え、ゲルマンの風習、冬の憂さ晴らし、堅苦しい日常を忘れるバカ騒ぎなど、ドイツのカーニバルにはさまざまな要素が混じりあっている。
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