コラム
いつまでニホンはカネを借り続けるのか 借金1000兆円時代の行方:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
ギリシャの債務問題が明らかになってから、「日本は大丈夫なのか?」と思った人も多いのではないだろうか。2010年度末、日本の借金は国と地方を合わせて1000兆円に達する見込みだが、この異常事態に鳩山政権が打つ手はあるのだろうか。
夏の参議院選挙で、選ぶ政党がない
英エコノミスト誌の最新号に「誰がツケを払うのか?」という内容の記事がある(関連リンク)。
この中に、こんな一文があった。「どの税金を上げようが、経済成長なしに日本は財政の悩みを解決することはできない」
もちろん鳩山政権もそれは承知しているはずだ。だからこそ成長戦略を昨年末に発表した。ただ、その戦略をどう実現するのか、という具体的な内容についてはこの5月にも明らかにするのだという。
そこに2つの問題がある。市場がそれまで待ってくれるのかということ。そしてもう1つは、その成長戦略の肉付けで市場が納得するのかということである。
もし投資家の説得に失敗すれば、長期金利の急上昇という自体にもなりかねない。そうなれば国債相場は暴落し、金融機関は巨額の評価損を抱えることになる。もちろん株価も急落するだろうし、信認を失った円も安くなる。そうなったら少し上向いてきた景気が足元をすくわれ、二番底へ真っ逆さまである。
情勢が急を告げているのに、「国民の皆さまとの約束を守る」と言い続ける鳩山首相に、いらだちを感じてしまう。何と言っても国民にとっては、この夏の参議院選挙で「消去法」で選ぼうにも、選ぶ政党がないのである。
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